
見るからに伝わる、手作り感溢れる素朴な風合いの伊賀焼の散蓮華。
ご飯やスープ、おかずを掬うのに便利な形状のこの匙は、アジア各国の食卓の定番で、様々な素材で作られています。
散った蓮の花びら、その一片のかたちから付いた名だといわれ、手に持つと薄くて軽く、まさに蓮の花びらを連想させます。
持ち手の先の独特の形状は、花びらにとまった蝶をイメージしており、シンプルな蓮華のアクセントに。
サイズは小さくとも、土の豊かさ、そして職人の手仕事のぬくもりを感じさせます。

特に土ものの和食器とは、相性の良い散蓮華。汁物の碗に添えれば使いやすく、秋から冬には鍋料理のたびに出番があります。
表情の決め手となる釉薬も土と同じ伊賀産。艶やかな美しさが際立つ黒飴、土の味わいが素直に表れた石灰、深い緑が印象的な織部、温かみが宿った志野、複雑な風合いに独特の表情が浮かぶ松灰。
テーブルに置いて自立しますが、まれにコロンと倒れるものもあります。底を見るとエッジが効いた部分もあれば柔らかな部分もあり、ひとつひとつ形が違い、それがまた微笑ましいのです。
決して整っているとは言えない“いびつ”で可愛らしい佇まいは食卓にぬくもりを添えてくれます。

琵琶湖の湖底であった三重県・伊賀地方は、良質な粘土の産地。作陶すると手が痛くなるほどの粒子の粗い伊賀の土を、熟練の職人が丹念にこねて滑らかにし、型打ちと呼ばれる方法で、ひとつひとつ丁寧に成形します。人の手加減で作られているので「大きさ」や「形状」は一つとして同じものはありません。

イメージは伊賀焼のお茶碗です
焼き物は焼成時に、素地や釉薬に含まれる金属が酸素と結びついて色味や質感を変えます。同じ釉薬でも、窯内の空気の対流により、場所によって温度や還元の度合いが異なるため、「色合い」に差が出ることがあります。例えば石灰釉の場合、同じ窯内でも還元が強い(酸素が少ない)場所は青味がかり、弱い(酸素が多い)場所はピンクがかった発色になります。

天然の材料である粘土や釉薬には色々な成分が混ざっています。粘土の中に含まれる鉄が溶けて表面に噴出した「黒や茶色の斑点」。素地と釉薬の収縮差によって現れるヒビのような模様の「貫入」。焼成の際、素地の中にあった小石が割れ目を生じて表面に現れたりする「石はぜ」。窯から出した時に初めて分かる、質感や色合い。一つとして同じものはない、器の様々な表情や個性があります。

使用前には、米のとぎ汁を入れた鍋に入れ、10 分ほど煮沸して「目止め」を行ってください。表面にできたでんぷん質の膜により、汚れや匂いがつきにくくなります。
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![]() 志野 | ![]() 石灰 | ![]() 黒飴 | ![]() 織部 | ![]() 松灰 |