機械の研究 2023年10月1日発売 第75巻 第10号
巻頭記事
「非線形超音波法を用いたき裂評価における分調波発生現象の数値シミュレーション」
構造物や機械の安全な運用のためには非破壊検査は重要であり、破壊力学の観点から金属材料中のき裂深さの正確な計測が望まれる。疲労き裂や応力腐食割れによる不連続界面は残留応力の影響によって閉じた状態となっている場合がある。
超音波を用いた非破壊検査(超音波法)では母材ときずの音響インピーダンス差によって発生する散乱波を計測する。そのため、通常の超音波法を閉じたき裂に対して用いた場合、入射超音波の大部分が透過し散乱波はほとんど発生しないためき裂の検出やサイズ計測が困難である。そこで、閉じたき裂の検出やサイズ計測のため、接触音響非線形性(CAN:Contact Acoustic Nonlinearity)を利用した非線形超音波法の開発がなされており、有効な検査手法となることが期待されている。
版型
B5判
目次
展望・総説・総論
非線形超音波法を用いたき裂評価における分調波発生現象の数値シミュレーション
東京工業大学 環境・社会理工学院 准教授
丸山泰蔵
統計的実験データ解析による疲労損傷の検出技術
熊本大学大学院 先端科学研究部 准教授
黒田雅利
Non-smoothな接触をともなう系の運動解析法 その2
青山学院大学 理工学部 機械創造工学科 教授
菅原佳城
鉄道車両の車体弾性振動とその低減に関する研究開発(2)
鉄道車両の車体弾性振動のモデリング
秋田県立大学 システム科学技術学部 機械工学科 教授
富岡隆弘
鉄道総合技術研究所 車両技術研究部 車両振動研究室
秋山裕喜
連載講座
光ファイバー型赤外線輻射温度計の設計製作から計測まで(6)
2色温度計の製作
金沢大学 名誉教授
上田隆司
応用力学基礎講座(11)
弾性理論への入門 ―熱応力と粘性―
慶應義塾大学 名誉教授
棚橋隆彦
自然環境と再生可能エネルギー(5)
太陽光発電と小水力発電の電気機器
元産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所
小西博雄
カルマンフィルタとその周辺および応用(18)
カルマンフィルタの初期条件の誤りによる誤差共分散行列
立命館大学 名誉教授
杉本末雄
大阪大学大学院工学研究科 特任准教授
和田光代
生体機械工学(2)
細胞分別用流路底面マイクロ溝
工学院大学 工学部 機械工学科 教授
橋本成広
特別講座:機械系大学院入試問題演習
(40)材料力学:早稲田大学2022年夏季実施より
神奈川大学 名誉教授
伊藤勝悦
コラム:一杯のコーヒーから(201)
日本とアメリカ
元 Consulting Prof., Stanford Univ
慶應義塾大学 顧問
福田収一
工学・工業界ニュース