共感覚の魔女
めくるめく共感覚の世界と魔女の暮らしを描き上げた、万華鏡のように美しい幻想的エッセイ集
著者の蜜猫コノミさんは、山形県鶴岡市にて絵画や編み物、料理などの手段で「色」を表現した暮らしをおくる「職業魔女」。
生まれつき五感すべてに共感覚をもつ彼女は、文字や数字、音楽や話し声、そしてすべての生き物に、その気質やメンタル、健康状態から深層心理までを映し出す色や風景を感じる。すべての色はつねに流動し、輝き、点滅する。その目にうつる世界は、まるで万華鏡のように色とりどりで美しい。
感覚の過敏さや、人と違う生きづらさに悩んでいた蜜猫さんは、30代なかばで発達障害の診断を受け苦しみの一端を理解するが、彼女は早い段階から苦手なことと距離をおき、自分の得意なことを生かしながら無理なく生きるため「魔女」という生き方を選択していた。
自然の恵みや季節・月の巡りに感謝し、自分だけの絶対的価値観をもって、目に見えないものを大切にする魔女暮らしの根底には、窮屈で生きづらいこの時代だからこそ見直したい自由さがある。
2024年11月