兵隊さんに愛されたヒョウのハチ
人も襲う猛獣のヒョウが 日本兵たちと心を通わせた 奇跡の実話。 戦火の中、優しさを失わなかった日本兵たちがいた― “くじら部隊と呼ばれた歩兵部隊にいた小隊長・成岡正久さんが 出会った1匹のヒョウの赤ちゃん。 “ハチと名づけられ、隊員たちからかわいがられたハチは、 人間を本当の仲間だと思うようになっていきました。 やわらかな日差しの下で、 ハチが隊員たちとじゃれて遊んでいたある日のことです。 「ハチは、おれたちの日常の風景になくてはならん存在になっちゅう」 隊員のひとりがハチの頭をなで、笑いながら話しかけていました。 「そうやのう。けんど、ハチは本当に猛獣やろうか。とても見えんわ」 別の隊員が大声で笑っていると、成岡さんも目を細めていました。 (本文より)