母は死ねない (単行本)

『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』(新潮ドキュメント賞&大宅壮一ノンフィクション賞W受賞)の著者が届ける最新作 「母」の姿に正解なんてあるのだろうか。 ある母親は病にめげない。ある母親は己自身を愛せない。 ある母親は養子を引き取る。ある母親は子を奪われる。 ある母親は後悔をせず、ある母親は終わりを選んだ。 育てたい。愛したい。それだけの願いを叶えることが、こんなにも難しい――。一人として同じではない女性たちと、自らも母としてあがく著者自身の切なる声をたしかに聴き取る。 これまでたくさんの母たちに出会い、たくさんの花が踏み荒らされてきたことを知った。少女の頃から向けられてきた性的な視線や夫から受けた暴力、子を産めという圧力、若さを絶対的な価値とされること、踏み荒らした人は覚えてもいないだろうことに、人の一生は変えられてしまうことを改めて感じた。そして、子どもを突然殺されたり、子が突然いなくなってしまったりした母たちの壮絶な苦悩も聞いた。 それらは重みのある話が多かったけれども、一方で、私にとっては自分の過剰な構え、母はかくあるべきだという思い込みを?がしてくれるもので