「甘え」の構造 [増補普及版]

「甘え」が失われた社会に 「甘やかし」と「甘ったれ」が蔓延している。 変質しつつある日本社会の根底に横たわる危機を 鋭く分析した書下し論考「甘え」今昔を加えた増補普及版 ----いまこそ読まれるべき不朽の名著 ●1971年の刊行以来名著の名をほしいままにしてきた本書は、三十数年後の 今日も読み継がれている古典です。  本書で著者は「甘えるな」というありきたりの処世訓を説いたのではな く、日本社会において人々の心性の基本にある「甘え」「甘えさせる」人間関係 が潤滑油となって集団としてのまとまりが保たれ、発展が支えられてきたこと を分析して見せたのです。  しかしその後日本の社会と文化は大きく変質し、油断ならない、ぎすぎすし た関係を当然とする社会風土が形成されてきました。それはすなわち、良き「甘 え」が消失し、一方的な「甘やかし」や独りよがりの「甘ったれ」が目立つ世の 中になったことも意味するのです。  いまこそ、本書を通じて、なぜかくも生きづらい世になってしまったの か、日本社会はどうあるべきなのかをじっくり考えてみましょう。