わが夫 坂本龍馬

内容紹介 新装版 龍馬はそれはそれは妙な男でして… 二人は危険で魅力的な不良カップル はみ出し者夫婦の熱い日々―― 龍馬の実像に迫った妻の熱き口伝 英雄や偉人とは違う等身大の龍馬とおりょうがここにいる。 強烈な個性を放ちながら、坂本龍馬は幕末という動乱の時代を疾走した。 龍馬の名は後年、多くの関係者の回顧録の中に登場する。天衣無縫、新し物好き、あるいは恐ろしげな雰囲気だったとか、その印象は人さまざまだが、とにかく忘れ難い男だったことは確かのようだ。 なかでも妻おりょう(お龍)が回顧する龍馬は、最も等身大に近いように私には思える。大体、幕末の「志士」と称する若者たちは、自分の政治運動の中に妻や恋人を連れ込もうとはしなかった。ところが龍馬は、そのへんの節操がなかったのか、おりょうの談話の中には西郷隆盛や中岡慎太郎といった同志の名が頻出する。 もっともおりょうは、その政治的意義をどれほど理解していたかは別としても「男」の場所に出ることを厭わない女性だった。また、龍馬もそうした女性が好みだったようだ。龍馬は故郷土佐の姉お乙女(とめ)にあてた手紙の中でおりょうを「まことにおもしろき