私訳 歎異抄(たんにしょう) (PHP文庫)

鎌倉幕府から弾圧を受けながら、真の仏の道を求めた浄土真宗の開祖・親鸞。 その教えを弟子の唯円が「正しく伝えたい」と願って書き残し、時代を超えて読み継がれたのが 『歎異抄』である。 本書は、親鸞の生涯に作家として正面から向き合い、三部作の大長編に挑んできた著者が、 自らの心で深く受け止めた『歎異抄』を、滋味あふれる平易な文体で現代語訳した名著。 ベストセラー、待望の文庫化 『私訳 歎異抄』とは、私はこう感じ、このように理解し、こう考えた、という主観的な現代語訳である。 そんな読み方自体が、この本の著者、唯円が歎く親鸞思想からの逸脱かもしれない。 そのことを十分、承知の上で、あえて「私」にこだわったのだ。 歎異抄は、私にとってはいまだに謎にみちた存在である。古めかしい聖典ではなく、 いきいきした迫真のドキュメントである。(本書「まえがき」より)