力道山──「プロレス神話」と戦後日本 (岩波新書 新赤版 2046)

空手チョップを武器に外国人レスラーと激闘を繰り広げ、戦後日本を熱狂させた力道山。大相撲から、アメリカで大人気を博していたプロレスへ転じ、テレビの誕生・発展とともに国民的ヒーローとなった。神話に包まれたその実像とは。そして時代は彼に何を仮託したのか。長年にわたる取材の蓄積と膨大な資料を駆使して描き出す。 目 次 はじめに――力道山とは“だれ”だったのか 第1章 大相撲にかけた自己実現――“日本人化”の葛藤と挫折  「プロ・レス」から「プロレス」へ  大相撲=“日本人”としての地位=富と名声  初めての負け越し、そして終戦  戦後、初入幕  横綱・羽黒山との激闘  故郷の分断とアメリカ文化への傾倒  突然の断髪  断髪をめぐるさまざまな憶測  相撲から学んだ人生のメタファー  “長崎県出身”というプロフィール  “出自”を追ったふたつの文献  「深層海流の男」――牛島リサーチから  「力道山の真実」――井出リサーチから  少年時代を知る人物の証言  “生年月日”は永遠のミステリー  日本国籍のパスポートでアメリカへ 第2章 プロレスとの出逢い――ヒーロー誕生前夜  相撲廃業から建設