アイヒマンと日本人 (祥伝社新書 684)

「まじめ」を隠れ蓑にした「思考停止」の罪 1942年1月20日、「ユダヤ人問題の最終的解決」を話し合う政府合同会議が、ベルリン郊外のヴァン湖畔で開かれた。いわゆる「ヴァンゼー会議」である。 国家保安本部長官ハイドリヒ親衛隊大将など錚々たる幹部が出席した同会議に、事務方として参加していたのが、アドルフ・アイヒマンである。 アイヒマンは、支配地域で増え続けるユダヤ人を負担とみなし、効率よく殺害する計画策定で大きな役割を果たした。 そして、戦後は南米に逃亡するも捕えられ、イスラエルでの裁判の結果、死刑に処せられた。 本書は、法廷で「命令に従うしかなかった」と述べ、自らを正当化したアイヒマンの生涯を追い、従順さが内包する危険性について警鐘を鳴らす。 上位者の命令に対して従順な国民性を持つ日本人こそ必読。 ■目次 第一章 アドルフ・アイヒマンとは何者か 第二章 ナチスのユダヤ人迫害政策と「ヴァンゼー会議」 第三章 ホロコーストを「効率化」したアイヒマン 第四章 国外逃亡と捕縛、エルサレムでの裁判 第五章 日本人の中にもある「アイヒマン的なまじめさ」