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世界のオーケストラの首席奏者をも深くうなずかせる音色と響き。その精微なフォルムには、奏者と同じ芸術性が宿っている。表現の高みへ。ヤマハカスタムトロンボーン「ゼノ」
2024年8月、前モデルYSL-882ORより仕様変更がありました。
開発協力にラリー・ゾルカンド氏を迎え、シンフォニックな音質と吹奏感のバランスをテーマにデザインされたモデル。交換式のリードパイプや通常よりもスライド幅の広いワイドピッチスライドを採用し、幅広い音の表現を可能にしています。グースネックやロータリーに新構造のバランスドレスポンスローターを採用し、適度な抵抗感がある心地よい吹奏感を実現しています。
▼前モデルYSL-882ORからの変更点
レバーアクションを改良し、ストロークを短くすることで操作性が向上。その他、安定したレバー操作を実現するダブルトーションスプリングやダブルボールベアリングなども新たに採用されています。この仕様変更により、トロンボーン演奏で難しいとされる素早いパッセージなどの場面では、クイックアクションを実現し、よりクリアな演奏をし易くなったようです。また左親指にフィットする樹脂製のカバーが操作性を格段にアップさせて、より楽しく、演奏効果の向上が期待できる新設計となっているようです。
▼YSL-882ORIIの特徴
*バランスド・レスポンス・ローター
ロータリー側面にユニークなアングルで空気抜け孔を設けました。スラー演奏時にバルブを操作した際にF管抜差し内の気密差による雑音が軽減され、心地よい抵抗感を付与。またバルブ自体も軽量化され、そのスムースな操作性は演奏者の芸術性を的確に表現できます。
*リバース式主管抜差
主管抜差、F管抜差共にリバース式抜差を採用。F管ピッチを従来のモデルよりもワイドにすることによってB♭管とF管の流路抵抗差を削減しました。
*オープンラップ F管アタッチメント
F管抜差使用時の息の流れ・抵抗感の変化を最小限に抑える緩やかなオープンラップを採用し、全体的にストレートな吹奏感を素早いレスポンス、開放的で豊かな響きを実現します。
*スライド
スライド先端部には響きに艶をもたらす洋白を使用。またスライド幅は通常よりも広いワイドピッチスライドを採用。ppからffまで常に音色に安定した支えを得られると共に、艶のある輝かしい音色から深みのあるダークなサウンドまで、奏者の表現の幅を広げます。
▼ヤマハ Xenoシリーズ テナーバストロンボーン ラインナップ(2024年9月現在)
全てベルが1枚どりのカギ継ぎ、ベルサイズ は8 2/3インチ。XenoシリーズはCusutomシリーズに比べベルが一枚どりになったりとよりこだわりが強く、手を入れて作られているシリーズ。 学生はもちろんプロ奏者までも満足させるモデルがXenoシリーズです。
・YSL-882II...トラディショナルラップ 、ベル/スライド外管イエローブラス、クリアラッカー仕上げ、ナロースライド
・YSL-882GII...トラディショナルラップ 、ベルゴールドブラス、スライド外管イエローブラス、クリアラッカー仕上げ、ナロースライド
・YSL-882OII...オープンラップ 、ベル/スライド外管イエローブラス、クリアラッカー仕上げ、ナロースライド
・YSL-882GOII...オープンラップ 、ベルゴールドブラス、スライド外管イエローブラス、クリアラッカー仕上げ、ナロースライド
・YSL882ORII...オープンラップ 、ベル/スライド外管イエローブラス、スライド先端洋白、クリアラッカー仕上げ、ワイドスライド
・YSL-882GORII...オープンラップ 、ベルゴールドブラス、スライド外管イエローブラス、スライド先端洋白、クリアラッカー仕上げ、ワイドスライド
・YSL-825...オープンラップ 、ベルイエローブラス、スライド外管ゴールドブラス、スライド先端イエローブラス、クリアラッカー仕上げ、ワイドスライド
・YSL-825G...オープンラップ 、ベル/スライド外管ゴールドブラス、クリアラッカー仕上げ、スライド先端イエローブラス、ワイドスライド
▼ボアサイズと音色
ボアとは管の円周部分の直径のことで、このサイズの違いで息の量や抵抗感に変化があり、音色や吹奏感が変わります。細管に比べ息の量も必要となり音色・音量ともに豊かで華やかなものとなります。
細管/中細管...直径が小さいですので必要な息の量が少ないために吹きやすく、音色は繊細でしっとりとしたものになります。初心者はこちらが良いですが、音にスピード感も出ますので、上級者でも高音域を専門に演奏する方に選ばれ、特にジャズ、ポピュラー等には向いています。テナートロンボーンは細管、中細管のものがほとんどです。音量が欲しければ練習を積んで太管の楽器を選びましょう。
デュアルボア...スライドの中管の内径が上下管で違い、上管(マウスパイプ側)より下管(ベル側)が太くなっています。これによって音色や音の広がりが微妙に変化します。本体、ベルジョイント側は中細管になります。
太管...息の量も必要となり音色・音量ともに豊かで華やかなものとなります。しっかりした息と正しい奏法で吹くと美しく豊かな音が出ますが、技術と体力が必要です。テナーバストロンボーンでは太管の方が主流で人気があります。
▼素材の違い
素材の上にかける塗装によって同じような色に見えても実は素材が違っていたりします。 金管楽器の素材となるブラス=真鍮とは銅と亜鉛を混ぜたもので、この配合率によって素材の強度や色が変わり、音色、吹奏感に違いがでます。銅の比率が上がるほど、音色に温かみが出ると言われます。 YSL-882ORIIはイエローブラスを使用しています。
イエローブラス...明るく、張りのある音色。多くはイエローブラスが主流です。銅が70%、亜鉛が30%。
ゴールドブラス...幅のある豊かな音色。銅が75〜85%、亜鉛が15%〜25%ほど。
レッドブラス...より柔らかく落ち着いた音色。銅が85〜90%、亜鉛が10%〜15%ほど。より丸みのある音色に、深い響きを与えます。
▼塗装の違い
ぱっと見はだいたい金か銀ですが、塗装の違いで濃いゴールド、薄いゴールドの違いがあったりもします。塗装の違いで音色や吹奏感にも違いがでてきます。Xenoシリーズのトロンボーンは全てクリアラッカー仕上げです。トロンボーンの大半はクリアラッカー仕上げであることが多いです。透明なラッカーでパワフルで音抜けがよく艶やかな音色になる傾向です。ほぼ同じ見た目でゴールドラッカーがあり濃いめのゴールドになります。また、銀メッキは柔らかな音色になると言われています。やや抵抗感がありますので表現力を求める演奏にも向いています。
▼トラディショナルラップとオープンラップの違い
こちらの商品はオープンラップ。
・トラディショナルラップ...Fセクションのレイアウトをコンパクトにまとめたもので、古くから伝統的に使われてきたタイプです。F管がしっかりと本体に組み込まれているので、心地よい抵抗感を得ることができ、ピアニッシモを演奏しているときの安心感があります。
・オープンラップ...Fセクションのレイアウトを大きくとって、流れを緩やかにしたタイプで、F管と本体の接合部が少なく、 比較的テナートロンボーンに近いオープンな吹奏感と明るめの音色を得ることができます。
▼バルブシステム
YSL-882ORIIはメカニカルアクション。
・メカニカルアクション...いわゆるメカ式といわれるもの。紐を使用していないため紐の緩み、切れによる不良が起きないことです。操作性についてもレスポンスがよく素早いパッセージにも反応できます。
・コードアクション...紐式。紐式とよばれるもの。紐の交換が定期的に必要ですが、レバー操作が滑らかで静かなのが特徴です。また紐の長さを調整することでレバーの高さを自由に変えることが出来ます。
▼スライドについて
Customシリーズはスライドがワイドスライド、Xenoシリーズからはワイドスライドに加えてナロースライドが標準仕様されるモデルがあります。
YSL-882ORIIはワイドスライドが標準仕様です。(特別注文でナロースライドへの変更も可能)スライド先端には洋白を使用し、音が引き締まる傾向です。
・ワイドスライド...スライドの幅が広いです。幅が広い分、先端のカーブが緩やかなので抵抗感が小さい傾向にあります。最近の主流はワイドスライドが多く、多くのメーカーがワイドスライド仕様です。
・ナロースライド...スライドの幅が狭いです。手の小さい方や女性の方には持ちやすいかもしれません。先端のカーブが少し急になるので抵抗感は大きい傾向です。一昔前まではナロースライドが主流でした。
■管楽器
■調子:B♭/F
■ボアサイズ:太管 13.89mm
■ベルサイズ:約220mm(8 2/3'')
■ベル:イエローブラス製 /1枚取り
■F管レバー方式:ボール式
■スライド 外管:イエローブラス 先端洋白
■スライド内管:洋白 ワイドスライド(Y-104IINC)
■マウスパイプ着脱式(A3YL イエローブラス製標準装備)
■仕上げ:クリアラッカー
■made in Japan 日本製
※細かい仕様が画像と異なる場合がございます。
■楽器 本体
■ハードケース
■マウスピース SL-51C4L リム内径 25.23mm スロート径 6.92mm
■保証書
■ポリシングクロス
■スライドグリス
■スライドクリームまたはスライドオイル
■ポリシングガーゼ
■クリーニングロッド
■ローターオイル