コーンウェル『死体農場』は本当に実在したパトリシア・コーンウェルの「検屍官」シリーズ『死体農場』のモデルになった法医学施設の実録ノンフィクション。正式名称、テネシー大学人類学研究施設。所長のビル・バスは、仲間内では冗談半分で「死体農場の市長 The Mayor of The Body Farm」と呼ばれている。ここでは、研究のために提供された死体をさまざまな条件の下にさらし―さまざまな温度下で、種々雑多な虫にたからせて、あらゆる死後損傷を死体に試み―研究している。いまでこそ推理小説や映画、テレビドラマであたりまえになっている法医学の先駆者が失敗談を交えて明かす内情は、推理ドラママニアだけでなく、一般の人にも興味を持って読める、肩の凝らない読み物に仕上がっている。