多田尋子小説集 体温
15歳のとき、両親が本当の両親ではないと知らされた素子。兄の藤一とも血が繋がっていないと知ったそのときから、素子は藤一に恋心を抱くようになる(「秘密」)。
8年前に夫を亡くした率子は、夫の仕事仲間だった小山と再会し関係を深める。率子の自宅の客間を間借りしている女子大生の清子とあけみ、そして娘の百合、幼馴染の光子。賑やかな生活を送る中で、小山との関係はどのような進展を見せるのか―(「体温」)。
心地好い温かさに包まれていたはずが、いつのまにか孤独や哀しさの方に針が振れ、心に引っ掻き傷を残す。歴代最多の六度芥川賞候補にあがった著者の、成就しない大人の恋愛小説集を復刊。
「体温」「秘密」「単身者たち」の3作品を収録。
<多田尋子(ただひろこ)>
1932年長崎県生まれ。日本女子大学国文科を卒業。
1986年に「白い部屋」が第96回芥川賞最終候補作となり注目を集める。
その後、「単身者たち」「裔の子」「白蛇の家」「体温」「毀れた絵具箱」で計6度芥川賞最終候補にあがる。
著者:多田尋子
出版社:書肆汽水域
判型:四六判
サイズ:13.5 x 2 x 19 cm
ページ数:227p
言語:日本