生徒指導提要―令和4年12月―

文部科学省

令和4年12月、平成22年以来12年ぶりの改訂版をいち早く書籍化。

文部科学省の有識者会議の議論により策定された生徒指導提要は、生徒指導の拠り所として平成22年以来長く小学校・中学校・高等学校等の教員に活用されてきました。この度学校をめぐる法律や制度、社会情勢の変化に伴い12年ぶりに改訂。内容も61頁増加の298頁。全ての教員必携の1冊です。
生徒指導と体制づくりについて
学校教育における生徒指導の役割とは何か。学習指導要領が主に「教育目標の達成」に主眼が置かれていることに対し、「児童生徒の健全育成」に主眼が置かれているのが生徒指導です。生徒指導提要の役割は、小学校・中学校・高等学校等において、生徒指導について指針を示すことによって、教員間、学校間の円滑な連携を促すことにあります。学校において一定の方針に沿った生徒指導体制を構築するため、生徒指導提要は全ての教員、教育関係者にとって共通認識しておく必要のある内容なのです。

いじめ対策
いじめの認知件数は増加の傾向にあり、いじめを背景とした自殺などの事態は引き続き発生しています。2013年に制定された「いじめ防止対策推進法」では被害者の子どもの主観に重きがおかれたものとなっており、学校側にも一層の対応が求められています。改訂版では各学校の「いじめ防止基本方針」の見直しを含め、4段階での改善が求められています。

不登校
増加傾向にある不登校児童生徒。その原因も多様化しています。改訂版では学校の役割として「登校する」という結果のみに着目するのではなく、児童生徒が進路を主体的に捉え、社会的自立を目指せるように支援を行うことが求められます。また、教育の機会損失がおきないよう不登校特例校、NPO法人やフリースクールの活用、ICT機器による支援が挙げられています。

児童虐待
改訂版では、教員に対し「日々児童生徒を観察し児童虐待を早期に発見する義務を負っていると自覚し、虐待を見つけ出すように努力することが求められている」と明記されました。児童生徒の問題行動の背景に虐待がないか、積極的に見つけ出すことが必要とされています。

自殺
国内の自殺者は減少傾向にあるものの、小学生、中学生、高校生の自殺者は増加傾向にあります。改訂版では「教職員一人一人が児童生徒の心の危機の叫びを受け止める力を向上させるとともに、学校内外の連携に基づく自殺予防のための組織的な体制づくりを進めることが、喫緊の課題」とし、「自殺直前のサイン」の事例が明示されました。

性の多様性
改訂版では性的マイノリティに関する項目において、「教職員の理解を深めることは言うまでもなく、生徒指導の観点からも、児童生徒に対して日常の教育活動を通じて人権意識の醸成を図ることが大切」と明記されています。当事者の児童生徒が「自認する性別」を尊重するための取組を例示しています。

こんな人におすすめ
小学校・中学校・高等学校等の生徒指導担当教員はもちろん、全ての教員、教育関係者が目を通しておきたい1冊。個々の教員の取組、学校全体の取組について振り返ってみては如何でしょうか。
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