月刊 初等教育資料2024年8月号 文部科学省教育課程課・幼児教育課/編

特集I:学校段階等間の接続を踏まえた指導(1)
特集II:学習指導要領における指導のポイント[国語]
筋道を立てて考える力や豊かに感じたり想像したりする力を養う「読むこと」の授業改善

読者対象:幼稚園教員・保育士・小学校教員
出版年月:2024年7月26日

特集I
学校段階等間の接続を踏まえた指導(1)

中央教育審議会答申(平成28年12月21日)には、「今回の改訂における教育課程の枠組みの整理は、こうした『高等学校を卒業する段階で身に付けておくべき力は何か』や、『義務教育を終える段階で身に付けておくべき力は何か』を、幼児教育、小学校教育、中学校教育、高等学校教育それぞれの在り方を考えつつ、幼児教育から高等学校教育までを通じた見通しを持って、資質・能力の三つの柱で明確にするものである」ことがまとめられ、改訂された小学校学習指導要領の総則には、「中学校学習指導要領及び高等学校学習指導要領を踏まえ、中学校教育及びその後の教育との円滑な接続が図られるように工夫すること」とあり、中学校学習指導要領の総則には、「小学校学習指導要領を踏まえ、小学校教育までの学習の成果が中学校教育に円滑に接続され、義務教育段階の終わりまでに育成することを目指す資質・能力を、生徒が確実に身に付けることができるよう工夫すること」とあります。つまり、学習指導要領には、育成を目指す資質・能力を幼児期から小学校、中学校、高等学校までの連続性を大切にしながら継続的に育てることの重要性が説明されているのです。
そこで、本特集では、「学校段階等間の接続を踏まえた指導」をテーマとして、各教科等の指導に当たり、各学校段階等間の終わりまでに育成することを目指す資質・能力を確実に身に付けることができるように、学校段階等間の接続を踏まえた指導を行うことの重要性やポイントを論説で示すとともに、指導の充実について、視学官・調査官により論説をします。

特集II
学習指導要領における指導のポイント[国語]
筋道を立てて考える力や豊かに感じたり想像したりする力を養う「読むこと」の授業改善

「読むこと」領域の学習活動に関する現状として、現行学習指導要領になってからの全国学力・学習状況調査結果によると、説明的な文章に対しては、「複数の資料を読んで理解したことを関連付けながら、自分の考えをまとめること」「目的に応じて、文章と図表とを結び付けて必要な情報を見付けること」、文学的な文章に対しては、「人物像や物語の全体像を具体的に想像したり、表現の効果を考えたりすること」の指摘があります。また、学習指導要領の改訂においては、ただ活動するだけの学習にならないよう、活動を通じてどのような資質・能力を育成するのかを示すため、学習過程の明確化、「考えの形成」の重視を掲げ、指導の改善・充実を目指してきているところです。
そこで、本特集では、資質・能力の育成に向けて、効果的なICT活用を含め様々に工夫され授業改善が行われてきているところではありますが、筋道を立てて考える力や豊かに感じたり想像したりする力を養う「読むこと」の授業改善について、解説、座談会、実践事例を通して、その授業改善のポイントを示していきます。