中国十代名茶のインパクトある茶葉
清の時代、19世紀中頃に生まれた太平尖茶を、20世紀初頭に改良して生まれた太平猴魁。太平県の猴坑、猴岡(山かんむりに岡)一帯で産出し、品質として尖茶の魁首(一番優れている)であるという点、またこの改良を行ったのが王魁成という茶農であったことから、太平猴魁と名づけられました。1915年のパナマ万博で金賞となるのですが、その後、戦争の時期を経て生産量は落ち込みます。1949年にはわずか95kgしか生産されなかったとのこと。しかし、1955年中国十代名茶に選ばれ、1972年には周恩来が中国を訪れたニクソン大統領への贈り物に使うといった出来事を経て少しずつ増加、21世紀には産地を拡大させ、大幅な増産がすすめられましたが、こちらは現在、最も珍重される、原産地・猴坑村の茶葉です。
太平猴魁の茶葉は、早ければ早いほど良いと言われ清明節より前が良いとされる多くの緑茶とは異なり、少し後、谷雨前後に摘まれます。1. 山地で陰があり霧が出る、2. 元気な柿大種の茶樹、3. 若く強く真っ直ぐな枝、4. 一芽二葉の先端部分、という4つの条件を満たしたもののみが使われます。
鍋で酸化発酵を止める殺青の工程を経た後、人海戦術で、一枚一枚、葉を伸ばして並べていきます。網戸のようなもので上下からはさんだ状態で温度を変えつつ三度の火干しの工程を経て仕上がります。
実は、10年ほど前から太平布尖という茶が生産されていて、柿大種だったり、柿大種でなかったり、2葉だったり3葉だったりするのですが、各工程が器具機械でなされ、圧力で平たくするので太平猴魁よりむしろ大きい仕上がりになります。価格は何分の1くらいと格段に安いですし、インパクトも猴魁以上かとは思うのですが、つぶし過ぎるので味が劣るのと、文化史的にもこれが十大名茶なんだ、と言えるものをご紹介したいということで、猴坑村の太平猴魁を販売することにしました。 せっかく見た目の良い茶葉ですので、ぜひ、背の高いガラスの杯やティーポットを使ってお飲みください。
※中国茶早わかり
中国茶をあまり知らない方のため、当店で商品をお買い上げの方すべてに中国式のお茶の淹れ方や茶器を紹介したリーフレットを同封しています。はじめての方や贈り物にされる方もご安心ください。
◆このお茶のおいしい淹れ方
湯温度 90度
茶葉の量 4g(湯300ml)
抽出時間 2分
ガラスコップで淹れる場合、まず茶葉を入れ、湯を1/3程度まで注ぎ、軽くゆすって茶葉に水分を十分に吸い込ませます。それからさらに湯を足して7分目まで注ぎ少ししたところで飲みます。