いま日本の奥地の広大な森が大荒廃していることをご存知ですか? かつては野性鳥獣たちの宝庫だった日本の奥山の広大な部分が、戦後の拡大造林という国策によって、杉とヒノキだけの人工林に変わってしまっているからです。杉やヒノキは、葉は苦くて食べられないし、熊などの動物のえさとなる実もならないので、空腹に耐えられなくなった動物たちは、森から里へと飛び出してくるようになりました。 このような異常現象が起こるのは絶滅の前触れだそうです。しかし農作物を荒らされた地元の人々は「動物が増えすぎて、森からあふれ出てきた」と勘違いして、銃やわなで動物たちを駆除し始めたのです。 こんなときは、大きな動物から滅んでいくそうで、いま、ツキノワグマの絶滅が始まりました。留意しておくべき大切なことは、動物たちを滅ぼす森は人間も滅ぼすのだということです。奥山が荒廃すると、私たちの大切な水源も枯れてしまうのです。そこには絶望的な現実があります。 この小冊子からは、森を守るために立ち上がった人々の切実な訴えが聞こえてきます。多くの中学生たちがこの運動を支えているのも事態が切迫していることを物語っているように思います。 |