東文彦ガイド・作品編(阿部誠・著)A5/192頁
東文彦が著した作品についての情報を収集し、それぞれの作品に対して鑑賞を試みた。東文彦に関してはこれまで全く研究がなされていなかったため、どのような作品が書かれたのかさえ確認されていなかったが、本書により、現在入手可能な文彦の作品にはどのようなものがあるか、把握することができるようになった。また、文彦の作品に対して鑑賞を試みたのは、本書が最初である。
巻末には、東文彦が書いた書簡7通を掲載した。6通は三島由紀夫に宛てて書いた手紙であり、1通は別の知人に宛てて書いた手紙である。『浅間 東文彦遺稿集』(昭和19年発行、非売品)に載っている手紙であるが、古い資料なので通常では入手は不可能で、図書館を通じて取り寄せる以外に読む方法はない。その一端を紹介した。文彦の素顔を知りたいという場合に、本人が書いた手紙は必読の資料である。
東文彦を取り上げて卒業論文を書く際には必ず手許に置いて参照し、活用してほしい。