フラーとカウフマンの世界 (井口和基・著)A5/246頁

私の「フラーとカウフマンの世界」は、生きた時代も活躍した分野も一見全く異なる2人の発想の中に見事に一致する、極めて深遠な内容があるという「驚くべき」発見を説明するために書いた。私は最初シナジーやシナジェティクスの意味を科学者の言葉に翻訳することを試みた。というのも、フラーの創始した多くの概念は神秘的かつエッセイ風に語られているために、普通の人が読めばおよそその意味を理解することすら難しく、ともすれば単なるフィクションとすら見なされかねない代物だからである。にもかかわらず、フラーの神髄を少しずつ理解していくと、それが現在「複雑系理論」分野におけるカウフマンの発想と実に良く似ていることに私は気付いたのである。