アメリカ文学「立ち読み」講座 (半藤正夫・著)B6/232頁
そもそもアメリ文学は、建国がそうであったように、多民族文化から生まれてきた歴史的文化的遺産である。本書で取り上げた作家や作品はそのような多様な文学的遺産の中でもひときわ異彩を放つものである。たとえば、ユダヤ系作家アップダイクや、南部の歴史を刻むフォークナーや黒人女性作家トニ・モリスン、そして日本文学を世界に紹介したサイデンステッカーの名訳英語版『雪国』など、『立ち読み』するにはいささかも不足はない傑作ぞろいである。是非ページをくくって『立ち読み』されることをお勧めする。
◎目次
はじめに
第一部 ユダヤ系作家の魅力
・プロローグ・・・アメリカ文学とユダヤ系作家
・第一章 日常性からの脱出
・第二章 ユダヤ性への反逆
第二部 「古き南部」と女たちの戦
・第三章 『サファイラと奴隷娘』
・第四章 『デッサ・ローズ』
《コーヒー・ブレイク》 もう一つの「雪国」
第三部 「失われた世代」の言い分
・第五章 ヘミングウェイと「雨」
第四部 「南部」を刻む、「歴史」を刻む
・第六章 「サトペン王国」崩壊
・第七章 「夜明け」に消えた女(ひと)
おわりに
主な引用・参考文献