蜜愛領域(古川珠実・著)B6/80頁
大学院で古代植物学を研究している蓮(れん)は、愛するフリーカメラマン昊(そら)の突然の死の真相を突き止めたくて彼の遺作展を催す。そこで謎の青年と知り合う。両親や愛する者たちを不慮の事故で亡くしている孤独な青年・蓮は、庭のトネリコの大樹と触れ合い語らうのが就寝儀式になっていた。ある夜その庭に侵入者があった。秘密を覗き見られて凍りつく蓮。男は樹木の精霊だと名乗って、蓮に襲いかかった。それが昊との馴れ初めだった。ふたりの愛の想い出の中に埋没していく蓮。現実の時間の流れと回想が交錯して恋情だけが募っていく。昊、謎の青年……三人の愛の物語。