粥百選 高梨尚之 翠香園 本・書籍

日本が誇る精進料理の「滋味」溢れるおかゆ50品と、中国の家庭でも楽しまれているような「滋養」たっぷりな代表的なお粥を50品、あわせて100選。

出版社:東京書籍
発売日:2017/8/14
146ページ

※この本はオンデマンドで作成・印刷されています。
本書の刊行によせて

体調を崩して医療機関に行くと、ひどく混雑していて大変な思いをすることがあります。そんなとき、各家庭にお医者さんがいたら良いのになあ、と考えたことはありませんか。

実は「ファミリードクター」と呼ぶべき存在がいるのです。

それは、あなたの身近にいる人、家族、友達、恋人など深い絆の方たち、そして何よりもまず自分自身がそうあらねばなりません。

「医食同源」というように、食事が私たちの身体を作り、健康を維持する大きな力になっています。良質な食事を口にし、規則的な生活を送る人は、体力や抵抗力、自然治癒力など、人間本来が持っている力が増し、知らないうちにお医者さんから遠ざかるのです。

遠い記憶をふり返ると、いつも台所に立っていた母を想い出します。

便利な調理器具もない時代でしたが、身近な人の健康をいつも第一に考え、心温まる料理を工夫して作ってくれました。今思えば、家族にとっての素晴らしき「ファミリードクター」でした。今や社会構造が大きく変わり、核家族化、単身化など多様化が進んでいます。昔ならお母さんが担っていた役割を、老若男女を問わず、自分自身で果たさねばならない時代なのです。

お粥は非常に健康的で、家庭向きの料理です。これからの時代、お粥はますます注目されていくことでしょう。

本書は、かたや永平寺で長く受け継がれてきた秘伝の味、かたや横浜中華街の名店で多くの客を唸らせてきたプロの味を、家庭で手軽に作ることができるよう一冊にまとめた、「百種のお粥の共演」とも言うべき今までになかったレシピ集となりました。

企画立案に関わった者の一人として、素晴らしい仕上がりになったことを嬉しく思うと同時に、是非多くの方に活用していただきたいと思います。

便利で豊かな時代になりました。自宅で料理をしなくても、街に出ればいくらでも美味しい出来たての料理が売られています。中には買ってきた食品を皿にもあけず食べ、お米を研いだこともない人も少なくないと聞きます。そうしたスタイルが効率的なのかもしれません。しかし、自炊を敬遠することで何か大切なものが失われてしまうように思えてなりません。