鈴木三重吉は日本の児童文化運動の父として知られています。 彼は、政府が主導する唱歌や説話の質に不満を持ち、子供の感性を育むためには、本当に良い作品を届けなければならないという哲学のもとで、童話と童謡の雑誌「赤い鳥」を創刊しました。その創刊号には、芥川龍之介、有島武郎、泉鏡花、北原白秋らが賛同し、後には菊池寛や、谷崎潤一郎らも作品を寄稿しました。また、「赤い鳥」には多くの作家、作詞家、作曲家、画家が賛同し、参加したのみならず、彼らが世に出るきっかけとなりました。 三重吉自身も創作童話のみならず、世界各国の物語を児童向けの童話として、沢山の作品を発表しています。 このオーディオブックは、鈴木三重吉がお子様に対しても真剣に一人の人間として向き合って、千差万別の人間模様を描いた童話が収められたものです。是非親子で一緒に触れてみてはいかがでしょうか? 「湖水の女」 昔、ある村にギンという若者がいた。ギンは散歩の途中、湖で今まで見たこともないぐらい美しい少女と出会う。少女は湖の妖精だった。 ギンは湖の主が繰り出す様々な問題を解いて少女を嫁に迎えるが、少女は一つの条件を出す。 「この先あなたが私を三度、叩いたら私はあなたのもとを去りますよ……」 ギンはあなたをたたくなんてありえない、そんなことをするぐらいなら私は自分の手を切り落としてしまうと約束するのだが……。 「ロビン・フッド物語」 ロビン・フッドが生まれたのはヘンリー二世の治世であり、彼の家柄は地方の伯爵家だったとも言われている。何らかの法を犯したロビンは王様から国外追放の刑を受けてシャーウッドの森に立てこもった。そして、鹿の猟と強盗と戦争とを仕事に暴れて回ったが、善人や貧乏人をいじめず、自分の危害を防ぐ以外には人を殺さず、女性には一切侮辱を加えないことを堅く守り通していた。 ある時、ロビンの元に一人の老騎士がやってくる。ロビンはその騎士にご馳走したうえで、その勘定を取り立てようとしたが、息子がランカスターの騎士を殺めた刑罰と償いで、家財を売り払ってしまったという。それでも足りずに聖マリー寺院の僧正から、自分の土地をかたに大金を借り受け、その期日は明日に迫っていたが、全く返す当てがなく途方に暮れているのだという。それを聞いたロビンは…… <仕様> オーディオブックCD ■品番:9784775985595 ■JAN:9784775985595 ■発売元:でじじ発行/パンローリング発売 ■発売日:2018.07.14 |