児童文学の父であり、日本のアンデルセンと呼ばれる小川未明の童話「三つのかぎ」、「トム吉と宝石」など全45話を朗読で収録しています。 小川未明と聞いてピントくる人は少ないのではないでしょうか? 小川未明は数多くの作品を残していることから、「日本のアンデルセン」、日本児童文学の父」と称されています。生まれは1882年(明治15年)、新潟県高田(現上越市)。坪内逍遙などから学び、後に逍遥から「未明」の号を授かります。1961年(昭和36年)、享79歳で没。没後は上越市により新人発掘のコンクール、小川未明文学賞が創設されています。 小川未明の作品は明治~昭和にかけての当時の日本の生活、子ども達の暮らしなどが物語を通して感じることができ、日本の歩みを子どもたちに教えることができます。 そして、小川未明の作品の中には戦時中の背景が描かれているものあります。 今、語り継がれることの少ない戦時中の経験を物語でわかりやすく子どもたちに 伝えられます。物語の中には社会批判、人間の悪しき心が垣間見られ、善悪の判断がつかない子供たちへの正しい道筋となる作品もあります。美しい文章で語られる未明の世界をご堪能下さい。 11巻に収録 「三つのかぎ」 ある青年は毎日のように空高く、金色の鳥が飛んでゆくのをながめていました。その鳥は自分にとって良いことのある使いであろう考え、その鳥の巣を探す旅をすることにしました。金色の鳥が飛んでいった山の方へゆくと一人の猟師がその鳥をさげて山から降りてきました。青年は猟師に話しかけ、その鳥にはかぎがついていることがわかりました。青年は猟師からそのかぎをゆずってもらいました。手にとってみると2という番号がついていました。青年はこのかぎで開かれるものをこの世の中に見い出したとき、本当に幸福になるのだと考えました。それから彼の長い旅は続きました。 また、別に旅をしている若者がありました。彼が城跡を通った時、石垣の間に小さなかぎがあるのを見つけました。そのかぎには3という番号がついていて、そのかぎで開かれる箱を見い出したなら、自分の野心が遂げられるのではないかと思い、城の歴史などから伝説を調べ、手がかりを探していました。 ある夜、また別の年の若い男が海岸の岩の上にたたずんでいました。すると砂の中にうずもれているかぎをみつけました。彼はまだこの世に発見されていない隠された箱を開かせるためではないかと考えました。 三人の男はべつべつにかぎを持って、宝の箱を捜し歩いていました。このことが人々の中でうわさされ、三人はあるところで落ち合うことにしました。三つのかぎはまったく同じであることがわかり、都に持っていってある学者に調べてもらうことにしました。 学者はかぎを見て、このかぎのかかる箱は博物館に収めてあると言い、学者の手により箱は開かれました。中に入っていたものは・・・。 <仕様> オーディオブックCD ■品番:9784775984437 ■JAN:9784775984437 ■発売元:でじじ発行/パンローリング発売 ■発売日:2017.05.13 |