商品情報 | |
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商品状態 | ★安心の防水梱包★表紙にラベルをはがした跡あり。【帯あり】本文は損傷・書き込み・汚れ等はなくおおむね良好です。 |
商品の説明 (新品の場合) | 本書は、日本が生んだ世界映画界の巨匠である映画監督溝口健二が、 生前に自身の署名で発表した記事を出来る限りすべて、 その発言のなかで重要と思われるものを網羅した。 著者は『溝口健二・全作品解説』を刊行した溝口研究の第一人者、佐相勉。 この本は、編年体で編まれ、フィルモグラフィー、記事、そして書誌情報が年代順に収録されているので、 溝口が時代を追うに従って、映画監督としていかに変化していったかが、手に取るようにわかってくる。 そして、その時代にどんなことを考えていたのかがよくわかる。 全体を5つの時代に区分した。1923―1929はサイレント時代、1930―1935はトーキーの時代、 最も記事が多い1936-1945は『浪華悲歌』でブレイクした溝口が巨匠になった時代である。 1946-1951は戦後、そして1952―1956はヴェネチア国際映画祭で受賞して世界的な監督になった時代である。 全体的に、記事は元の発表媒体からあまり手を加えていない。 従って、溝口作品のタイトル表記でさえも統一が取れていないところがある。 この辺りは巻末の索引を参照していただくとある程度疑問点は解消できると思う。 フィルモグラフィーや編註、メモランダムもすべて佐相の執筆によるものである。 フィルモグラフィーは他の資料と食い違っているものもあるが、 佐相による最新の研究成果となるものであり、それは註やメモランダムも同様である。 溝口という監督のとても不思議なところは、日本でよりも海外での方が有名で、 映画関係者にもよく知られているところである。研究論文なども海外での方が圧倒的に多い。 ただ、海外の研究者が溝口作品のスタイルやショット分析を中心としているのに対し、 この本は新しい視点を導入することを狙っている。溝口の原テキストを読むことで、 新たな溝口像を発見していただけるものと確信している。 いくつかの原稿は、『溝口健二集成』(1991年、キネマ旬報社)、 『映画読本溝口健二』(1997年、フィルムアート社)に収録している。 前者は絶版であり、後者は現行本であるが、先にも記したように、 時代順に読まれることで新たな光を当てられる可能性があること、 佐相による新たな注釈が付記されていることに意味がある。 エピローグの「二つの流れを唯一つのものにコンデンスする」は、 この本を読む上での最良のガイドとなっているので、これを先に読んでもらってもよい。 この本が、若い映画作家や、若い映画研究者にも読まれ、 英語版をはじめとする海外版で発行されることを期待したい。 (発行人・西田宣善) |
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