目次
序章 文人の系譜─王維〜田能村竹田〜夏目漱石
第一章 漱石と絵画
第一節 明治時代画壇の風潮
第二節 漱石と美術家達との交流
第三節 作家である漱石のもう一つの顔
第四節 アマチュア画家である漱石が理想とした絵画とは
第二章 田能村竹田から漱石へ─文人画を軸に
第一節 竹田の文人画にみる世界
(一)川や橋に拘る竹田の山水画
(二)竹田の山水画に描かれている人物
(三)竹田の山水画にみる主人公の趣味
(四)竹田の文人画から伝わってくる生活の匂い
第二節 漱石の南画が語る世界
(一)漱石の南画に描かれている人物
(二)桃源郷がモチーフとされる漱石の南画
(三)虚構でありながら写実的な漱石の南画
(四)結論
第三章 王維から漱石へ─文人画を介して
第一節 王維と漱石の接点
第二節 「詠われる」王維の文人画
第三節 俗社会に完全には背を向けていなかった王維
第四節 漱石の南画にみる主人公の内面
第五節 人懐こい王維、一人の時間と空間の場にこだわる漱石
第四章 陶淵明から漱石へ─隠逸精神を介して
第一節 陶淵明に傾倒していた漱石
第二節 「悠然見南山」にみる陶淵明の隠逸精神
第三節 「鳥」に成り切れぬ陶淵明
第四節 「ハーミット的」な漱石
第五節 『草枕』にみる隠逸精神
第六節 淵明に憧れながら再構築した漱石の隠逸精神
(一)淵明の桃源郷を彷彿させながら異質を見せる漱石の桃源郷
(二)漢詩にみる淵明と漱石それぞれの隠逸精神
第五章 漢詩にみる文人の友情─王維と裴迪・漱石と子規
第一節 文人の友情
第二節 王維の送別詩にみる裴迪との交流振り
第三節 漱石における子規の存在
第四節 裴迪を徹底的に労る王維・子規と労り合う漱石
第六章 自然に身を浸す王維/都会的な漱石─春に因んだ詩を中心に
第一節 春という季節にこだわる王維と漱石
第二節 王維の詩にみる春のイメージ
(一)植物などによる風景描写
(二)鳥などの動物の登場
(三)人間の心境
第三節 漱石の題画詩
(一)植物などの風景表現
(二)鳥などの動物の登場
(三)人間描写
第四節 写実性を重んじる王維/想像性の豊かな漱石
第七章 題画詩にみる漱石の「文人」像─王維の『〓川集』との比較を通して
第一節 漱石と王維のもう一つの接点
第二節 王維の『〓川集』にみる虚と実
(一)視覚的表現の工夫
(二)『〓川集』にみる写実性
(三)聴覚的表現の多用
(四)幻想世界の展開
第三節 漱石の題画詩にみる漱石の「文人」肌
(一)詩の題材として最もよく扱われる竹
(二)春がモチーフとされる漢詩が圧倒的に多い
(三)聴覚的表現が目立っている
(四)人間に焦点を据える傾向
(五)室内に視点が据えられる詩が多い
第四節 実→虚構性を見せる王維の『〓川集』/虚→写実性を示す漱石の題画詩
(一)バラエティーに富んでいる聴覚的な表現
(二)写実的な王維/虚構性を見せる漱石
(三)自然3に目を向ける王維/自己を見詰める漱石
結論 文人の系譜にある漱石の「文人」像
(一)「悠然見南山」に倣いながら新たに生成した漱石の隠逸精神
(二)隠遁世界でありながら生活の匂いを感じさせる竹田と漱石の画
(三)裴迪を徹底的に労わる王維/子規と労り合う漱石
(四)南画(詩的絵画)及び絵画的漢詩にみる王維と漱石のアイロニー現象
(A)個への凝視
(B)実→虚である王維/虚→実である漱石
あとがき
初出一覧
参考文献