氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのか (ちくま新書)

明治新政府の改革が、人々を大混乱に巻き込んでいく── 日本人の名前はこうして創られた 私たちが使う「氏名」の形は昔からの伝統だと思われがちだが、約150年前、明治新政府によって創出されたものだ。その背景には幕府と朝廷との人名をめぐる認識の齟齬があった。江戸時代、人名には身分を表示する役割があったが、王政復古を機に予期せぬ形で大混乱の末に破綻。さらに新政府による場当たり的対応の果てに「氏名」が生まれ、それは国民管理のための道具へと変貌していく。気鋭の歴史研究者が、「氏名」誕生の歴史から、近世・近代移行期の実像を活写する。 「明治の「御一新」に画期があるのは、恐らく一般的な”想像?の通りだが、本書で実証される「氏名」成立の実情は、その”想像?とは相当に違っている。キーワードは「王政復古」。一見、なんの関係もなさそうな「王政復古」が、明治初年、人名をめぐる悲喜交々をも巻き起こしていく。」(本文より)