無窮天穏 天雲 生もと純米吟醸 改良雄町60% 1800【特約店限定】 Tenon むきゅうてんおん あまくも (島根県/板倉酒造) ギフト プレゼント のし無料

#Concept
天雲は一瞬の快楽よりも長く続く幸福をというコンセプトで、長く飲めるように加水率を大きくしています。私の考える長く続く幸福をもたらす「酔い」とは現代人の持っている強力な存在と時間の認知バイアスを緩める酔い方のことです。

フェロモンとグルコースが強い酒の場合はドーパミンが多く出て人に興奮をもたらします。その場合、人は利己的な行動を取りやすくなります。なぜならこれらはもともと植物が動物を使役させて花粉や種を遠くに運ばせるために合成したものだからです(花・果物・穀物・麻薬など)。それを主体とするは日本酒の本来の意義である群れをつくり営みを継続させることから遠くなることかもしれません。

フェロモンとグルコースを抑えながらアルコールの摂取量が多くなると興奮を抑えたまま(理性を保ったまま)酔うことが出来ます。酔うということは、人間の視覚と聴覚をゆるめ、言語能力を落とすことと同義で、その結果、人の細分化する、違いを見つけ出す能力(別化性能・ディスアナロジー・成所作智)を緩めることが出来ます。

違いを見つける能力(言語能力)を緩めるときに出てくる人間の認知が、同じにする能力(同化・縁起・類推・アナロジー・妙観察智)です。この同じにする能力をいかに人にもたらすかが日本酒であるか御神酒であるかアルコールが人にとって良い影響を与えるかどうかの大きなポイントだと思います。

そのために私が一貫して行っているような酒造技術が必要です。山陰吟醸+突きハゼ3日+生もとでつくったもろみを長期発酵させてグルコース1%以下で上槽します。山陰吟醸はグルコース1%以下でも綺麗な酒に仕上げる作り方で、突きハゼ麹は酒に良質なLアミノ酸を与え、生もとの乳酸菌は酒にDアミノ酸をもたらします。

結果として、低グルコースなのに綺麗な酒質、低アミノ酸なのに豊かなアミノ酸の甘旨味がある香味になるといういくつもの矛盾を同時に満たしている酒となるので、加水してもその香味は保たれます。

醸造家の思想と技術と現実の米(土)と水と空と発酵という現実が相まって出来た日本酒(御神酒)が無窮天穏シリーズです。これらの日本の営みから外れている人などいませんから誰にとっても美味しい酒であるはずです。分からなければ忘れているだけで、いつか思い出すはずです。よろしくお願いします。




#Tasting
【香り】エステリー、イソアミル、少し4MMP、乳酸、ほのかに熟成香、酸臭

【味わい】全体的に柔らかく温かくボディ感がある。吟味、密度、甘酒味、伸び、旨味、渋み、山水の味、味わいは強くないがやわらかさとほのかな吟味が相まってとても飲める酒。

精米歩合60%で綺麗さと重さが共存しており、多くの矛盾が同居して複合的な酒として旨い。グルコースやフェロモンが低いのに飲みやすく、それでいて複雑で強く旨く深い素晴らしい酒。醸造も香味も自分らしく独自の酒ができたので満足している。

無窮天穏 縁起を通じてかなりのところまで縁起思想を理解することが出来ました。縁起儀礼や御神酒の思想や、それを酒造技術に落とし込んだ醸造法は長くなるのでここでは割愛しますが、そのうち私の方でまとめようと思います。