名探偵の生まれる夜 大正謎百景 青柳碧人

歴史的偉業の裏に「事件」あり。文豪たちによる大正浪漫ミステリ。

大正七年の秋、与謝野晶子は大阪で宙に浮かんでいた。夫である鉄幹と共に通天閣の足元に広がる遊園地「ルナパーク」を訪れたものの、夫の言葉に血がのぼり、彼を置き去りにひとりでロープウェーに乗ったのだ。電飾まぶしい遊園地を見下ろし、夫婦というものの不確かさを嘆く晶子。その時、突然ロープウェーが止まり、空中で動かなくなって・・・(「夫婦たちの新世界」)

遠野には河童や山男など不思議なものがたくさん潜んでいるという。隣村を目指して朝もやのなかを歩いていた花子は「くらすとでるま・・・」という不思議な声を聞く。辺りを見回すと、そこには真っ赤な顔の老人がいた。かつて聞いた昔ばなしに出てくる天狗とそっくりの老人から逃げ出そうとする花子だったが、今度は黒い頭巾に黒い蓑をまとった怪しい男から「面白い話を聞かせてくれないか」と尋ねられ・・・(「遠野はまだ朝もやの中」)他全8篇。
青柳碧人
KADOKAWA
288ページ131×180(mm)

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