「みりん風調味料」の出現により、本当のみりんではないものが、「みりん」という名前で売られはじめたのです。一方、本物のみりんは、高い負担の酒税が原因で転廃業が続出しました。
その後、昭和31年、34年、37年にわたり酒税の大幅減税がなされ、みりんもようやく家庭でも使える価格になり、昭和40年には生産量が増えてきたのです。しかしその後、米価の引き上げが行われました。それにともないみりんも値上げをしなければならない現状でしたが、一度下げた値段を上げることができず、糖類・アルコールを増量してつじつまあわせが行われたのです。
酒販免許のないスーパーは、正しい知識をもたないまま、みりんの代わりに「新みりん」や「塩みりん」を販売しはじめましたが、本物のみりんと区別がつかない、と混乱が起こりました。そして昭和50年、公正取引委員会より、内容の伴わない名称表示であると指摘され、本当のみりんである「本みりん」と名称を区別して、「みりん風調味料」と変更されました。
では「本みりん」であればすべて本来のみりんであるかというと、実はそうともいえません。「本みりん」と称されるものの中には、本格仕込みという伝統的な本来の製法で時間をかけてつくられたみりんと、醸造アルコールでのばし糖類添加をして速成されたみりんがあります。
後者は主に、ペットボトル容器に入って広く安くスーパーで売らているようなみりんです。どちらが良いというよりも、どのみりんを選びたいか、しっかりと分かった上でお使いいただきたいと思います。