昔ながらの磯の香りがする海苔です。そんな海苔の味わいは、酸処理をせず、有明産の秋芽一番摘みを天日で乾燥させるという、古くからの製法を守っているからこそのものです。
秋芽一番摘の海苔ができるまで
「成清海苔店」が使っている、秋芽一番摘みの海苔は、とても手間ひまをかけて育てられています。昔と変わらぬ養殖法によって、おいしさが際立つ海苔が出来あがります。
春、海苔のタネ作り
海苔の養殖は、春ごろから始まります。まず、かき殻に、海苔の「糸状体」をもぐりこませます。
海苔は海藻の仲間なので、「糸状体」も光合成をして栄養(窒素、リン)を吸収します。なので、かき殻糸状体を育てるときは、海苔が病気や栄養不足にならないように細かな健康管理が必要になります。
約3ヶ月たつと、真っ白いかき殻に少しずつ胞子の黒い斑点が現れ始めます。
秋、海苔のタネ付け海水温が下がる9月半ばごろから10月上旬になると、成長した「糸状体」は分裂し、「殻胞子(かくほうし)」を放出します。この殻胞子が海苔のタネにあたります。
この殻胞子を網につけるのが「タネ付け」です。毎日、「糸状体」の熟し状態を顕微鏡で確認しながら、海苔のタネを厚くもなく薄くもなく網につける作業は、繊細な技術が必要です。
熟した糸状体のついたかき殻1〜2個を入れた「落下傘(らっかさん)」と呼ばれるビニール袋に入れて、30〜35枚重ねた網の下に吊るします。
海苔の養殖は、台風や長雨、残暑など自然的条件に左右されやすいので、水温と胞子の放出のタイミングをうまく合わせることが、その年の海苔の味に大きく影響します。
さまざまな困難を乗り越えて育てる、育苗期
育苗期は、1年で1番生産者の方が神経を使う季節です。この時期は、年によって残暑や台風などがあり、気温や水温が不安定な時期です。これらを乗り越えてはじめておいしい海苔が作れるのです。
タネをつけた海苔網は、網を重ね張りした常態で海苔の芽を育て、珪藻やバクテリアの付着に注意しながら網の重ね枚数を減らしていきます。
網の海苔の芽が2cm位出てくれば、20〜25枚に重ねられていた網は、15枚、10枚、5枚とじょじょに重ね枚数を減らし1枚張りに展開していきます。養殖網の一部を残して、残りの網は冷凍保管をします。
収穫のとき海苔の芽は、半月ほどで20cmくらいに伸び、収穫できるほどの長さになります。
産地によって収穫時期は異なりますが、有明海では11月中旬から始まり、翌年の3〜4月まで収穫は続きます。
一度収穫した海苔網は、その後2週間で再収穫が可能になります。
このサイクルを4回ほど繰り返して、冷凍しておいた次の海苔網に交換します。
製造工程(図) 収穫後の流れ1.水洗い
陸揚げした海苔の原藻には珪藻が付着しているため、まず海水できれいに洗って珪藻を除去します。
その後、真水で洗浄し細かくミンチ状に裁断します。
2.脱水ミンチされた海苔は、ノリ簀(す)に流し込まれ、抄き工程へ。抄かれた海苔は、すぐにスポンジで脱水されます。
3.乾燥乾燥装置に入り、熱風で水分を10%前後に乾燥させます。40〜80℃の温度を保ちながら約2〜3時間かけて乾かします。
4.袋詰め乾かした海苔は、検出機で品質チェックが行われ、10枚ずつ2つ折りにされ、袋詰めされ出荷します。 こうした工程を経て、お客様の食卓に「成清海苔店」のこだわりの海苔が並ぶのです。