KOBE LOSTFUTURE 水谷秀人

神戸は、かつて未来を失った街だ。1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災によって、この街は計り知れないほどの痛みを負った。
その深い衝撃の前と後で、まるで世界はふたつに引き裂かれてしまったかのようだ。震災と、「失われた20年」と呼ばれる日本の長い経済的停滞の時代によって、神戸からは多くの未来が失われることになった。

あるいは、神戸はいつも未来の予感がする街だ。19世紀の開港以来、神戸港に出入りする多くの船舶は、商品とともに、世界中の都市の自由な空気をこの街に運んできた。
高度経済成長期にかけて造られた、沖に浮かぶ二つの人工島や、各地で催された博覧会の記憶は、いまも未来への想像力を刺激し続けている。

あれから25年以上が経ち、世代交代と本格的な都市の再開発によって、失われた未来の痕跡は年々薄れつつある。われわれは、神戸の「ポスト震災」の時間が終わろうとしているという予感の中でこの小さな写真集をつくりはじめた。

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編集:麗日
写真:春菊
発行/装丁:水谷秀人

B5変型判(W/H:182mm)
52ページ フルカラー