繍い一つ紋 (まつい繍)

まつい繍 -下絵の線に添って、カタカナの「ノ」の字のように、少しずつ重ねながら繍う技法。

紋の数:背に1つ

色無地の紋について

どの紋を入れるか?
実家の紋か母親の紋、嫁ぎ先の紋の何れかを入れると言うのが基本的な決まり事です。地方やお家によってしきたりは様々でございますので、親族で詳しい人に尋ねて確認することは欠かせません。ご自身のお家の習慣を尊重なさって下さい。

特に、決まりごとのないお家の場合は、当店では、お母様の紋を娘様が代々受け継いでいくのが良いのでは、とお勧めしております。

紋の数は?
五つ紋、三つ紋、一つ紋の順に格が高くなります。通常、色無地の格にふさわしいのは一つ紋です。訪問着に相当する格をお求めの場合は三つ紋にします。

紋の種類は?最も格式があり正式な紋入れの技法は 染め抜き日向紋です。以下、中陰、陰の順に略式の紋となります。
日向紋中陰
色無地の御用途が、結婚式や茶事、式典など格の高い行事に限定されている場合は、染め抜き日向紋(ひなたもん)が安心です。

注意点:濃い色目は、紋が抜けない場合がございます。その場合、誂え染で紋を入れる事になりますので、時間に余裕を持って注文します。


縫い紋について
パーティーや食事会などの気軽な席でのご利用もお考えの場合は、あまり紋を目立たせない方が、着用しやすくなります。また、濃い色目の染め上がった反物は、染料が抜けないで染め抜き紋を入れる事が出来ない場合は、縫い紋を入れます。
まつい繍い芥子繍い
あまり目立たせない場合は、「まつい縫い」か「芥子縫い」で共色・共濃・共薄の糸で入れます。通常は、この2つの技法で縫い紋を入れます。

ある程度、紋を主張させる場合は、白や金・銀、御着物の地色からはっきり判るコントラストの色目で刺繍します。また、下記の「菅繍い」「相良繍い」の技法を用いますと上質感のある刺繍紋となります。縫い方の違いで格は変りません。
菅繍い相良繍い


注意点:縫い紋は、細かな文様が表現しきれない点をご注意下さい。
「丸あり」か「丸無し」か??
紋につきましては、地方やお家によって風習が様々でございますので、ご自分のお家の風習を尊重してください。

丸の有無につきましてのは、3つのパターンがございます。

1、男性は丸あり、女性は丸を外す
2、家の紋を忠実に入れる
3、男性用の紋、女性用の紋がある

関西地方は「男性は丸あり、女性は丸を外す」傾向にあり、関東地方から北は、「家の定紋を忠実に入れる」傾向にあります。また、旧家などでは、男紋、女紋など複数の紋がある場合もございます。

繰り返し申し上げますが、紋の丸のあり・無しについては、それぞれの習慣によって異なります、それぞれに正当性がございまして、一概に正否を問うことは出来ませんので、ご自分のお家の風習を尊重してください。