東京書籍: 商品のブランド サイズ
高さ : 1.40 cm
横幅 : 19.30 cm
奥行 : 25.90 cm
重量 : 440.0 g状態【中古品】 ※梱包時のサイズとなります。商品自体のサイズではございませんのでご注意ください。
はじめに パウンドケーキ。 なんだか、丸いケーキより簡単にできそうな気がしませんか ? 実際、長方形は丸形より中心まで火が入りやすく、 だから、焼いたら中が生焼けだったということがあまりないんです。 私が、高校生の頃に夢中で焼いていたのは、チャツネ入りフルーツケーキ。 パウンド型は持ってはいたけれど、いつも紙のパウンド型を買って作っていました。 当時、下宿をしながら高校へ通っていたので、 離れたところにいる両親や、伯母や、友人に、頻繁に送っていました。 箱にも入りやすいし、送っても壊れにくいから、プレゼントにも最適でした。 チャツネ入りフルーツケーキの配合は、その当時のものから改良を重ね、 今も一番好きな自慢のお菓子です。 お菓子が仕事になってからは、どんなパウンド型がこの生地に合うのか、 よりおいしそうに素敵に見えるのかと、私なりの好みが出てきたけれど、 でも、型は、一つ、二つあれば、いろいろなパウンドケーキが作れます。 パウンドケーキをフランスでは、カトルカール、ケーク、 ガトー・ド・ボワイヤージュ(旅行用のお菓子)と呼んだりします。旅のお菓子。 初めてこの言葉を知ったとき、なんて素敵 ! と思ったものです。 日持ちがするという意味からきているのでしょう。 そう。パウンドケーキは、変化を楽しみながら、ゆっくり味わえるのが魅力です。 夏は室温が高いから、やわらかく感じる。冷やしたらおいしい場合もあるので、試してみて、好きなかたさを見つけ出し、違ったおいしさが生まれます。 冬は寒いので、ぐっと生地がしまり、かたく感じます。 だから、おやつには焼きたてを厚めに切って食べたり、 寒い朝の朝食には、カリッとトースターで焼いてもいいんです。 寒いと熟成が遅い場合があるので、最後の一切れが一番おいしいこともあります。 お菓子の第一印象。自分にとって大事にしていることの一つです。 一口、口に入った途端に、これ、おいしい ! と思えるようなお気に入りを。また食べたいと印象に残るようなパウンドケーキを。 おいしくできたから、半分は、あの人にも食べてもらいたいと思うような味を。 パウンドケーキは幸せを分けられる、愉しさのあるお菓子です。 田中博子 もくじ