アントニ・タピエス(Antoni Tapies)「Triptyque.1976」銅版画■スペイン出身、20世紀の現代美術の巨匠の一人【小竹美術】真作保証

【作者プロフィール】

20世紀の現代美術の巨匠の一人

油絵具にワラや砂、大理石の粉などを混ぜて、キャンバスに厚く壁のように塗りこめていく。素材の質感はカタロニアの風土を思わせ、鮮烈な色彩がスペインの血を思わせる。カタロニアの熱い風土が生んだ画家といえる。
1923年バルセロナに生まれ、父を継ぐべく法律を学ぶが、画家を志望してスペイン市民戦争のさなか絵画を独修する。1950年の初の個展で奨学金を得てパリに滞在。52年を皮切りにヴェネツィア・ビエンナーレ、サンパウロ・ビエンナーレなど国際展への出品と受賞が相次ぎ、アンフォルメル(非定形絵画)運動の旗手として60年代には早くも国際的な名声を得る。
タピエスの触覚的ともいえる「壁面」には記号、数字、名、亀裂のようなものが描かれ、椅子など物体が貼り付けられて人々を驚かせる。
日本文化にも精通しており、禅、俳句、書道の本を愛読し、座右の書は岡倉天心の「茶の本」であり、「精神と物質をわけず、宇宙的な広がりを捉える見方が私の考え方と一致します」という。滝口修三と詩画集「物質のまなざし」(1975)もつくっている。96年に大作を集めた回顧展が日本全国を巡回した。