内容説明
わたしたちの命をつなぐ、食料。しかし令和の米騒動では、消費者という立場の脆弱性が浮き彫りとなった。生産力向上と持続性の両立をめざす「みどりの食料システム戦略」の策定は記憶に新しいが、実際には、持続可能な農業や食生産はいかに可能となるのか?著者が突破口を見出すのが、提携や生協産直、CSA(地域支援型農業)等のネットワークを土台に、市民が主体となって構築する「オルタナティブ・フードシステム」だ。ネパール、ベトナム、日本国内の調査事例では、信頼と共感を介した生産者と消費者のつながりに未来への可能性を探り当てた。アグロエコロジー的連帯で、持続可能な食生産・流通・消費のあり方を考察する。
目次
持続可能な農業とフードシステムの課題
第1部 価値認識とネットワーク構築による市場展開―ネパール・ベトナム・日本の事例(観光資源化による伝統的農業の再評価と「オーガニック」市場の構築;伝統的農業の観光資源化の限界と市場構築;関係性マーケティングによる信頼と共感の取引)
第2部 エコ農産物の地産地消拡大による持続可能な農業の普及―大阪府東大阪市「ファームマイレージ2運動」(大阪府東大阪市における「ファームマイレージ2運動」;認証農産物の購買意思と購買行動;認証農産物生産のモチベーションと普及)
持続可能な食生産のための市場構築と課題
著者等紹介
青木美紗[アオキミサ]
奈良女子大学生活環境学系准教授。博士(学術)。京都大学農学部食料環境経済学科卒業、京都大学大学院地球環境学舎環境マネジメント専攻修士課程修了、京都大学大学院農学研究科生物資源経済学専攻中退。大阪府職員などを経て現職。専門分野は食料・農業経済学、協同組合論、アグロエコロジー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)