内容説明
二〇二一年八月の、アフガニスタンからの米軍撤退と、ターリバーンによる政権奪取は、米国が二〇〇一年以来進めてきた「テロとの戦い」の破綻を国際社会に印象づけた。アフガニスタン以外の地域でも、「テロとの戦い」が二〇年を経て十分な成果を上げていない現実がある。この間、その主敵とみなされ続けてきたイスラーム過激派の主体や思考・行動様式は、常に大きく変容している。長年にわたる網羅的な情報収集と定性的な分析、現地主義に徹した研究手法とリテラシーを駆使して、その実態に迫る。
目次
第1章 イスラーム過激派とは何者か?―何をどのように観察・分析するか(イスラーム過激派とは何者か;イスラーム過激派とテロリズム ほか)
第2章 「テロとの戦い」の顛末(アル=カーイダの盛衰;「イスラーム国」の萌芽 ほか)
第3章 質的な観察・分析が明らかにする「テロとの戦い」の実態(なぜ「イスラーム国」は欧米諸国を襲撃したのか?;予測可能だったターリバーンの「勝利」 ほか)
第4章 量的な観察・分析が明らかにする「テロとの戦い」の実態(イラク戦争中のイスラーム過激派の観察;「イスラーム国」の事実上の滅亡 ほか)
第5章 イスラーム過激派はどこヘ行く?(安住の地を希求するイスラーム過激派;「テロとの戦い」に適応するイスラーム過激派 ほか)
著者等紹介
〓岡豊[タカオカユタカ]
1975年生まれ。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒。上智大学大学院外国語学研究科地域研究専攻修了(修士)。上智大学で博士号取得(2011年)。公益財団法人中東調査会主席研究員(2018〜20年)。東京外国語大学総合国際学研究院特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)