内容説明
多様なるイスラームの最大公約数、タウヒード、シャリーア、ウンマの三極構造論。イスラームの理想と現実の関係の構造的把握から示すイスラーム回帰現象の深層。カリフ制が弱体化した時代と不在の時代に、その理念が社会生活でいかに生きられたかを「国家/ウンマ」の社会的二層構造を通して解説。現代の危機をこえる希望のイスラーム論。
目次
序章(イスラームの三極構造―タウヒード・シャリーア・ウンマの有機的連関;イスラーム社会形成の歴史)
第1章 タウヒード―イスラームの世界観(タウヒードとは何か;等位性;差異性;関係性)
第2章 シャリーア―イスラームの倫理と法(シャリーアとは何か;五行(宗教的義務)
社会関係法と私的関係法)
第3章 ウンマ―イスラーム共同体(ウンマとは何か;理想のウンマ―預言者と正統カリフの時代;国家の時代におけるウンマ;イスラームの都市空間)
終章(西欧化とイスラーム世界;イスラーム世界の自己主張;資本主義に抗する社会;現代中東世界と世界史;世界史の今を映す鏡、パレスティナ)
著者等紹介
黒田壽郎[クロダトシオ]
1933年生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒業、同大学院文学研究科博士課程東洋史専攻修了。カイロ大学客員教授、イラン王立哲学アカデミー教授、国際大学中東研究所初代所長を歴任。訳書、アッ=タバータバーイー『現代イスラーム哲学』(第19回イラン・イスラーム共和国年間最優秀図書賞受賞(2012年))など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)