出版社内容情報
教育と演劇の関わり、その歩みと現在。教育と演劇の関わり、その歩みと現在。
音楽や美術とは異なり、学校の教科には位置づけられなかった演劇。
しかし、演劇を教育に生かす実践は脈々と続いてきた。
その歩みを、先人たちの遺産に学びつつ丁寧にたどる。
学芸会の「学校劇」から、教育活動全体に関わる「演劇教育」へ、
そして今注目の「表現教育」「コミュニケーション教育」「ドラマ教育」へ──。
教育の中での演劇活動の広がりと深まり、現在のありようを浮き彫りにする労作。
目次より
はじめに
第一部 演劇教育の流れをたどって
第1章 学校劇の興りとその運動
一 「学校劇」と「児童劇」
二 小原国芳の学校劇
三 学芸会の成立
四 大正デモクラシーと学校劇
五 成城学校劇と斎田喬
六 坪内逍遥と児童劇
1 脚本研究としての朗読/2 逍遥の児童劇脚本/3 逍遥の児童劇運動
七 第一回成城学校劇発表会
八 学校劇禁止令
九 禁止令と成城学校劇
十 成城事件
十一 テアトル・ピッコロ
十二 禁止令の後
十三 唱歌劇
十四 学校劇研究会の発足
十五 子供の劇場
十六 学校劇研究会公開発表会
十七 日本学校劇連盟結成
十八 日本少年文化研究会のこと
第2章「演ずること」の発見
一 歌って踊っての演芸会
二 東京児童文化連盟の結成
三 日本学校劇連盟の復活
四 生活劇の始まり
1 斎田喬と生活劇/2 劇作家落合聰三郎の誕生/3『掃除当番』のこと
五 生活劇とドラマ
六 学校劇と生活綴方
七 『どこかで春が』の実践
八 民主教育への道
九 学習指導要領〔試案〕と演劇教育
十 ゴッコ学習と演劇教育
十一 カリキュラムと演劇教育
十二 「逆コース教育」のなかで
十三 スタニスラフスキー・システムとの出会い
十四 「演ずる」ことの発見
十五 「日本学校劇連盟」から「日本演劇教育連盟」へ
第3章「ドラマ教育」の登場
一 「ドラマ教育」との出会い
1 劇が消える/2 新しい演劇教育の潮流
二 表現教育としての「ドラマ」
1「ドラマ」か「シアター」か/2 はじめはドラマ、あとからシアター─栗山宏の実践/3「ドラマ」の授業─矢嶋直武の実践/4 教室にドラマを
三 ドラマ教育としてのエチュード方式
1 エチュード方式の提唱/2 『大きなダンボール』の上演
四 劇あそびは遊びである
1 お話を遊ぶ/2 劇あそびの開拓者/3 ドラマ教育と劇あそび
五 ドラマ活動における即興と遊び
1 即興/2 劇は遊びである
第二部 演劇教育から学校文化の創造へ
第4章 演劇的教育、そしてドラマ教育
一 演劇教育を教育として
二 演劇的教育の役割
三 演劇的教育におけるドラマ教育
四 演劇教育に問われるもの
1 差別・選別と能力主義教育/2 ドラマ教育における自発性と自己表現/3 表現することは生きること/4 竹内敏晴のレッスンから/5 認識・感情と表現
第5章 コミュニケーションと対話
一 コミュニケーションと演劇教育
1 コミュニケーションの典型は演劇/2 教育におけるひずみ/3 教育改革のこと/4 子どもの事件から/5 「いじめ」をめぐって/6 関係の重さ、そして優しい関係/7「伝え合う力」とコミュニケーション/8 コミュニケーション的関係をひらく
二 対話と演劇教育
第6章 学校文化としての演劇教育を
一 教育になじまなかった演劇
1 学制発布の時から/2 風紀を弛うし、浮薄の弊風を助長するということ/3 社会主義思想とプロレタリア演劇
二 演劇教育の位置づけ
三 「四つの源流」のもつ意味
四 学校劇から演劇教育、そしてドラマ教育へ
五 子どもの発達と演劇教育
六 ドラマのある教育を
あとがき
引用・参考資料
佐々木 博[ササキヒロシ]
著・文・その他