内容説明
五年の沈黙を破って円熟の五冊目が出来た。栗田亘の筆は沈々と冴えこの乱心の時代を切る。「己の欲せざる所は、人に施すこと勿れ」で始まった「漢文を学ぶ」は今、弱りきった日本人の魂に喝を入れる。
目次
人にして義なく、ただ食らうのみならば、これ鶏狗なり。
春秋に義戦なし。
造物は涯りあり、しかして人情は涯りなし。
蛾を憐れみて燈を点ぜず。
漁夫の利
弟子、入りてはすなわち孝、出でてはすなわち弟。
孟武伯孝を問う。子曰く、父母はただ其の疾をこれ憂う。
養いて教えざるは、父の過ちなり。
君の読むところのものは、古人の糟魄のみ。
十読は一写にしかず。
積善の家には必ず余慶あり。
水を渡りまた水を渡り 花を看また花を看る
愚公、山を移す。
陥すべからざるの楯と陥らざるなきの矛とは、世を同じくして立つべからず。
蝦〓(がま)日夜鳴けども、人これを聴かず。
進むには名を求めず、退くには罪を避けず。
春秋に富む。
綸言汗の如し
著者等紹介
栗田亘[クリタワタル]
コラムニスト。日本エッセイスト・クラブ理事、日本ナショナルトラスト理事。「朝日川柳」選者(選者名・西木空人)。1940年東京生まれ。95年から2001年にかけて朝日新聞「天声人語」を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)