内容説明
東京下町低地の高潮対策と大阪の水辺活用に主眼をおき、水辺の特性を都市の活力に生かすまちづくりとは。治水や水辺活用に関する地域の状況や時代の要請に応え得る、適切な高潮対策の技術とは何か。この疑問に答える。
目次
1 都市における水の制御―東京と大阪
2 水辺の暮らし
3 高潮対策の背景と萌芽
4 水害と高潮対策
5 もうひとつの高潮対策計画
6 東京における高潮対策の耐震化
7 高潮対策の技術
著者等紹介
難波匡甫[ナンバキョウスケ]
1963年生。場所と空間の研究所所長、芝浦工業大学非常勤講師。博士(工学、法政大学)、専門は地域形成史。中部開発センター懸賞論文最優秀賞(2002年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
沖積低地に形成された東京と大阪は歴史的にも水害の危険が高い都市
である。その一方で人々は水辺を最大限に活用し、生活を支える存在として深い関係が築かれていた。
近代になり戦後復興から高度経済成長期を迎えると、水質汚濁の進行や船舶から鉄道への交通手段の転換が進められた事などから、人々の水辺との関わりも徐々に暮らしの面から、工業用水としての地下水確保による地盤沈下、大雨や台風による高潮対策に政策の重点が移ってゆく。
本書は東京と大阪における高潮対策の経緯と近年の耐震強化の状況を踏まえながら都市形成における河川のあるべき姿を考え、人々と水辺の関係性を再構築する。地域を水害から守る安全性の高いまちづくり、そして水辺の歴史や文化を育み地域の財産として継承するためにどのような都市整備が必要なのかを考察する。
1.都市における水の制御 東京と大阪
1-1 水に翻弄されていた中世以前
1-2 都市化が進む近世
1-3 近代以降の東京と大阪
2.水辺の暮らし
2-1 水辺と人のかかわり
2-2 河川舟運 内川廻し
2-3 東京の現状
2-4 大阪における水辺の暮らし
3.高潮対策の背景と萌芽
3-1 高潮対策の背景
3-2 高潮対策の萌芽
4.水害と高潮対策
4-1 室戸台風と応急的な高潮対策
4-2 伊勢案台風と高潮対策の恒久化
5.もうひとつの高潮対策計画
5-1 東京都議会の対応
5-2 もうひとつの高潮対策計画
6.東京における高潮対策の耐震化
6-1 河川における経緯
6-2 海岸における経緯
7.高潮対策の技術
7-1 大阪の高潮対策
7-2 水辺の暮らしを守るまちづくり
7-3 次世代を牽引する水辺活用と防潮堤
難波 匡甫[ナンバ キョウスケ]
1963 年岡山県に生まれる。1987 年芝浦工業大学建築学科卒業。1990 年法政大学大学院工学研究科修士課程修了。法政大学サステイナビリティ研究教育機構研究員(リサーチ・アドミニストレーターB)、同大学大学院エコ地域デザイン研究所兼担研究員。Lueur 場所と空間の研究所所長。専門は地域形成史。著書に『江戸東京を支えた舟運の路』(法政大学出版局)