内容説明
経済至上主義は欲望の経済学から始まった。アダム・スミスに先立つ17世紀、新思潮を背景に、近代社会を「欲求の社会」とみる消費主導の経済学がフランスに出現した。現代にいたる経済至上主義を準備した欲望の経済学を跡づける。
目次
序章 経済学の起源―フランスのコンテキストとの関連で(経済学の条件―世俗的倫理と世俗化の論理;一七世紀フランスの新思潮―アウグスティヌス主義;功利主義と利益説;経済学のフランス的起源)
第1章 経済学の起源とアウグスティヌス主義―ニコルからボワギルベールへ(ニコル―開明的自己愛と政治的秩序;ボワギルベール―欲求と秩序)
第2章 マンデヴィルの逆説―英仏の思想的展開との関連で(マンデヴィルの思想的源泉;マンデヴィル―私悪は公益;『カトーの手紙』とデフォー)
第3章 啓蒙の経済学―アベ・ド・サン=ピエール、ムロン、モンテスキューの商業社会論(アベ・ド・サン=ピエールの商業社会論―啓蒙の功利主義;J.F.ムロンの商業社会論―啓蒙の経済学;モンテスキューの商業社会論―富と名誉)
第4章 奢侈論争とフランス経済学(奢侈と消費―一七五〇年代までの奢侈容認論の系譜;奢侈と公共的精神;奢侈と節約―農業の再生;奢侈と貧困―一七七〇年代以降の奢侈論争)
終章 フランス経済学―欲望の経済思想
著者等紹介
米田昇平[ヨネダショウヘイ]
1952年兵庫県豊岡市生まれ。1976年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。1985年早稲田大学大学院経済学研究科後期課程単位取得退学。2008年博士(経済学、京都大学)。現在、下関市立大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
アダム・スミスに先立つ17世紀,新思潮を背景に,近代社会を「欲求の社会」とみる消費主導の経済学がフランスに出現した。現代にいたる経済至上主義を準備した欲望の経済学を跡づける。