内容説明
世俗のしがらみを拒絶し、学問に打ち込んだ道元。自力の修行を拒み、非僧非俗で平然と妻帯をした親鸞。学生時代に著者は道元には惹かれたが、親鸞に対してはためらいを感じた。親鸞はこうして封印された―。ところが後年、戦地と占領地で、人間の巨大な悪を目にしたとき、著者の前に再び親鸞が立ち現われてきた。自分の意志で手にとったのではなく、親鸞が接近してきたのだ―。親鸞思想に向かい合うことの現代的意味を問う、思考の運動の軌跡。『歎異抄』『教行信証』を独自の視点で読み解くとともに、三木清、三國連太郎、吉本隆明を通して、親鸞思想の現代的意味を問う!
目次
親鸞への接近
親鸞とわたし
『歎異抄』について
『教行信証』論
『歎異抄』のスタイル
和讃と今様
仏教用語翻訳の難しさ
礼如さんの思い出
赦すということ
三木清―終末の近傍で
三國連太郎―差別への眼差し
吉本隆明と“解体”の意思
著者等紹介
四方田犬彦[ヨモタイヌヒコ]
1953年、大阪生まれ。映画と比較文学の研究者、詩人、批評家、エッセイスト。東京大学文学部宗教学科を卒業。同人文系大学院比較文学比較文化科博士課程を中退。長らく明治学院大学教授として映画史の教鞭を執る。東京大学、コロンビア大学、ボローニャ大学、テルアヴィヴ大学、中央大学校(ソウル)、精華大学(台湾)などで、客員教授・研究員を歴任。東京大学講師として宗教学を講じる。主な著書に『月島物語』(集英社、1992)で斎藤緑雨賞、『映画史への招待』(岩波書店、1998)でサントリー学芸賞、『モロッコ流謫』(新潮社、2000)で伊藤整文学賞、『日本のマラーノ文学』『翻訳と雑神』(人文書院、2007)で桑原武夫学芸賞、『ルイス・ブニュエル』(作品社、2013)で芸術選奨文部科学大臣賞を受けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
『歎異抄』『教行信証』の独自の視点で読み解くとともに、三木清、三國連太郎、吉本隆明を通して、親鸞思想の現代的意味を問う。親鸞論が絶筆となった三木清、伝記映画を監督制作した三國連太郎、
親鸞の晩年について集中的に論じた吉本隆明…。
日本の知識人は、なぜ生涯のある時点で親鸞と出逢うのか?。
著者は宗教学を学んだ学生時代、世俗を選んだ親鸞の生き方を認めたくなかった。ところが後年、戦地と占領地で現実の苛酷さを前にしたとき、著者の前に再び親鸞が立ち現われてきた。自分の意志で手にとったのではなく、親鸞が接近してきたのだ。
『歎異抄』『教行信証』を独自の視点で読み解くとともに、三木清、三國連太郎、吉本隆明を通して、親鸞思想の現代的意味を問う、渾身の書下し!
親鸞への接近
親鸞とわたし
『歎異抄』について
『教行信証』論
『歎異抄』のスタイル
和讃と今様
仏教用語翻訳の難しさ
礼如さんの思い出
赦すということ
三木清 終末の近傍で
三國連太郎 差別への眼差し
吉本隆明と〈解体〉の意志
四方田 犬彦[ヨモタ イヌヒコ]
著・文・その他