内容説明
「新時代」を生きる子どもたちと教師へのメッセージ。「進路指導」とは「学校選択指導」ではない。未来をどう生きるのかという「生き方指導」である。離職・転職の急増、「ジョブ型雇用」導入など、一人ひとりのスキルアップ、キャリアアップを求める動きが強くなっている。そんな「新時代」の中で大切なのは、「要求を実現させる力」「メディアリテラシーの力」そして「自治の力」をどのように身に付けるのかということだ。
目次
プロローグ 自分の時間を優先させる時代に
第1章 「第2の進路指導」が求められる時代(離職・転職者増加の背景(1)―非正規雇用者を増やす政策
離職・転職者増加の背景(2)―「キャリア」の転換 ほか)
第2章 「第2の進路指導」で教えること(要求を実現させる権利の教育;情勢分析力と見通しの力(メディア・リテラシー) ほか)
第3章 今どきの教師のキャリアに注目して(世界に貢献できる仕事をしてみたい;ディズニーランドとの二刀流 ほか)
エピローグ 子どもたちを信頼して励ます指導を
解説 時代の転換期に、自由と権利の進路指導をつくる(松田洋介)(「第2の進路指導」の前に;「第2の進路指導」が登場する時代的条件 ほか)
著者等紹介
塩崎義明[シオザキヨシアキ]
1957年千葉県生まれ。千葉県浦安市の小学校で37年間「しおちゃんマン」の愛称で学級担任をつとめる。定年退職後、千葉大学、都留文科大学で3年間非常勤講師として生活指導、特別活動の講義を担当。2021年度より大東文化大学文学部教育学科特任教授として勤務。担当は、進路指導論、特別活動論、生徒指導論など
松田洋介[マツダヨウスケ]
神奈川県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学後、滋賀県立大学、金沢大学を経て、2019年4月より大東文化大学文学部教育学科教授。専門は教育社会学。職業教育・進路指導・生活指導に関わる実践についても理論的・実証的に研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
いま、1960年代の高度経済成長期に固まった、[高卒・大卒→正社員→結婚→定年退職→年金生活]、といった、制度や組織に頼った生き方を「標準」とした生き方が明らかに崩れてきています。
本書では、この「転換期」に求められる、単なる「学校選択指導」ではない新たな進路指導を「第2の進路指導」として論じていきます。
第1章では、「第2の進路指導」とはどういったものなのか、またそれが必要になってきた社会的背景について述べます。
著者は、「第2の進路指導」の中身は「自由と権利の指導」であると定義づけ、「自由」とは国の経済政策や、多数派の生き方に同調をせまる「圧」からの自由であり、「権利」とは個人として「幸せになる権利」であると述べます。
第2章では、(1)要求を実現させる権利の教育、(2)情勢分析力と見通しの力(メディア・リテラシー)、(3)自治の指導、の3つのテーマを主軸にして、「第2の進路指導」をどう指導・実践していくのかを具体的な実践例を示しながら構想します。
第3章では、教職経験者15人に取材をして、それぞれのキャリアストーリーとセカンドキャリアについて具体的に紹介します。
解説の最後で松田氏は本書を以下のように評しています。
「だからこそ、塩崎さんは、大人としてそのような社会をつくりだした責任を感じ、本書を通じて、自分の人生は自分の好きなように生きていいのだと、子どもたちに響くようなやり方で呼びかける方法を手を変え、品を変え、提示しようとする。「第2の進路指導」とは、まさに自由と権利にもとづく人生をつくろうという、子どもたちへの呼びかけなのである」