「特攻」を子どもにどう教えるか

著者:山元 研二【著】
出版社:高文研

商品説明

内容説明

本書は、長年、中学校の社会科教師として「特攻」の教材化に取り組んできた著者による、「特攻」を歴史の教訓として学ぶための実践記録である。



目次

1 「特攻」とは何か(特攻資料館を訪ねて;特攻作戦とは何だったのか;「特攻」の種類;特攻兵士の分類)
2 「特攻」をめぐる人びと(特攻の指導者たちの生き様;特攻を批判する元特攻兵士;「特攻の劇」のモデルとなった特攻隊員)
3 元特攻隊員・浜園重義さんへの聴き取り(フィリピンで負け戦を悟った;「志願」はタテマエ;特攻出撃の日;部下は出撃させなかった)
4 「特攻」を子どもにどう教えるか(学校教育における「特攻」;「特攻」と授業;「特攻」と道徳;「特攻」と社会科;鹿児島における「特攻」の授業;文化祭で「特攻」の劇をつくる;「特攻」の劇が起こした波紋;「特攻」に関するフィールドワーク;「特攻」調査の同伴者;「特攻」と天皇;「特攻」の慰霊のありかた;生徒のアンケートから;教育に携わるひとりとして)
脚本集 特攻の劇(海と命と若者と 一九九七年;お兄ちゃんからの手紙万世中学校版 二〇〇七年;夏の忘れ物 二〇一四年;川内川が見つめた戦争 二〇一八年)



著者等紹介

山元研二[ヤマモトケンジ]
1964年、鹿児島県種子島に生まれる。立命館大学文学部史学科日本史専攻卒業、鹿児島大学大学院教育学研究科教科教育専攻社会科教育専修修了。1987年4月より2022年3月まで鹿児島県公立中学校の社会科教師。現在、北海道教育大学釧路校准教授。歴史教育、人権教育、平和教育を研究テーマとしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



出版社内容情報

鹿児島の子どもたちの定番の遠足コースは知覧特攻平和会館見学だそうです。
そして子どもたちは、「道徳」でも「特攻」を学びます。
著者が「特攻」について取り組むきっかけとなったエピソードを紹介します。

−−−−−−−
 私が教師になって四年目、勤務校の一日遠足で訪問した時の二つの出来事を忘れることができない。
一つは、遺書のコーナーを見ていた時であった。
五、六歳くらいの男の子を連れた母親が、遺書を読み終えた後、
「あなたもこの人たちのような勇気を持たなきゃだめよ」と男の子に語りかけていたのである。
この母親が若者の写真と遺書から感じたことは「決死の愛国心」だったということである。

 
もう一つは、展示されている戦闘機の前で話していた語り部の言葉であった。

 
「みんな喜んで出撃していったのです。それを嫌だと思う人はひとりもいなかったのです」

 
私は、わが耳を疑った。「みんなとはあんまりだ」。
それを一緒に聞いていた新規採用の教師が私にこう言った。
「このままでいいんでしょうか」。
私が、社会科の教師として「特攻」について取り組む決心をした瞬間であった。
−−−−−−−−

著者は県内各地に残る「特攻」関連の資料館・遺跡をまわるフィールドワークや元特攻隊員への聴き取りを積み重ね、
学校の文化祭では「特攻の劇」の脚本を書き、特攻隊員・その家族・基地周辺に暮らす地元住民たちの戦争体験・
心情について子どもたちとともに理解を深めていきます。


本書は、著者が鹿児島県公立中学校の社会科教員として「命、人権は何より大切である」という価値観を、
その対極にある「特攻」を通して、子どもたちとともに学んだ実践記録です。




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