内容説明
〈文法〉と〈詩学〉とが結びつく“事始め”。機能語が意味語を支えると説く藤井文法は、物語論者で、和歌にも現代詩にも最前線で取り組んできた、著者長年の格闘から誕生する。宣長、時枝に次ぐ第三の試み!
目次
「あけがたには」の詩学
第一部 機能語が意味語を下支えする(論理上の文法と表出する文法;時間域、推量域、形容域;「あり、り」をめぐる;起源にひらく「き」の系譜;伝来の助動辞「けり」―時間の経過;フルコトの過去、物語の非過去;「はや舟に乗れ。日も暮れぬ」;〈いま、さっき、つい先刻〉―「つ」;言文一致と近代―「た」の創発;推量とは何か(一)―む、けむ、らむ、まし
推量とは何か(二)―伝聞なり、めり
推量とは何か(三)―べし、まじ
らしさの助動辞―「らし」
し、じ、たし―形容、否定、願望、様態
「る、らる」「す、さす、しむ」)
第二部 機能語が意味語を下支えする その二(助辞の言語態;「は」の〈主格補語〉性―「が」を覆う)
第三部 意味語の世界(名詞の類―自立語(上)
動く、象る―自立語(中)
飾る、接ぐ―自立語(下)
〈懸け詞〉文法)
第四部 人称と語り、表記(物語人称と語り;語り手人称と作者人称;自然称と和歌表現;漢字かな交じり文)
言語は復活するか―言語社会に向き合う