人に成る―古事記の神話的思考へ

著者:猪股 ときわ【著】
出版社:森話社

商品説明

内容説明

多自然と神話的思考。『古事記』の説話文の「人」や歌の「ひと」は「人間」を表してはいない。偶然の出会いを「人」が会ったと語るとき、未知の存在とのコミュニケーション回路が開く。神話的思考を喚起する歌で相手を「ひと」と歌うとき、歌い手自らも「ひと」と成り、神や鹿や猪、植物など多くの「ひと」の蠢く多自然のなかに入ろうとしている。



目次

1 「人」に成る(海神宮訪問譚の「神」と「人」とワニ;「人」とは何か;「人」と語る;「軍」と「人」と)
2 重奏化する「声」(『古事記』の「多声」を聞く;歌の「われ」 「類い」としての「自己」;「ひと」と歌う;神話的思考を喚起する歌『源氏物語』と『古事記』と)
3 狩猟・戦い・「愛」(鎮魂に抗する歌 『古事記』の忍熊王の乱を中心に;歌による「軍語り」 『日本書紀』忍熊王の乱の神話的思考;狩猟と戦争 宇陀の兄弟ウカシと天神御子たち;距離(ディスタンス)と「愛」 イザナキ・イザナミ神話を起点として)



著者等紹介

猪股ときわ[イノマタトキワ]
1960年生まれ。専門は日本古代の歌・神話の研究。東京学芸大学大学院修士課程修了、東洋大学大学院博士後期課程満期退学。2025年3月に東京都立大学を定年退職し、現在、同大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



出版社内容情報

多自然と神話的思考

未知の相手と歌うとき、歌い手自らも相手も「ひと」と成り、未知の存在とのコミュニケーション回路が開く。歌によって、神や鹿や猪、植物など多くの「ひと」のうごめく「多自然」のなかに入ろうとする『古事記』の神話的思考の世界を論じた古代文学論。


【目次】

I 「人」に成る

1 海神宮訪問譚の「神」と「人」とワニ
「失われた釣鉤」型神話
見るための作法
世界を渡る姿形─「化」る
「誘惑する」─「魅了される」
作法を知ることと語ること

2 「人」とは何か
トヨタマビメと「まれびと」
「女」と「女人」
技を担うのは「人」
「人」に出会う
名の「人」・歌の「ひと」

3 「人」と語る
「人」の古代へ
「人草」と「人」──上巻(神代)から中巻
「荒ぶる神/伏はぬ人」と言葉──中巻から下巻
「人民」と「人」と「神」

4 「軍」と「人」と
『古事記』の「いくさ」
「黄泉軍」──「いくさ」の起源
兄弟「二柱」の東征
「御手」と「手」の戦い
「いくさ」と歌の「声」
追記

II 重奏化する「声」

1 『古事記』の「多声」を聞く
方法としての「多声」
歌の叙事
叙事の重層/重奏
死者を歌う
死者が歌う

2 歌の「われ」 「類い」としての「自己」
向き合う「声」
問答形式
「われ」と「なれ」と 
「類い」としての「自己」

3 「ひと」と歌う
「〜ひと」と歌う
「かみ」と「ひと」との酒造り
歌う「よのながひと」
「きびひとと ともにしつめば」
「かみのみやひと」と「みのさかりびと」
重層化する世界

4 神話的思考を喚起する歌 『源氏物語』と『古事記』と
「神話のことば・歌のことば」を受けて
『源氏物語』「帚木」
「植物の女」/「樹木の女」
狩猟と戦い

III 狩猟・戦い・「愛」

1 鎮魂に抗する歌 『古事記』の忍熊王の乱を中心に
敵は異母兄弟
軍を語る
記憶すべきは死
鎮魂に抗する歌
戦士は語り、歌う

2 歌による「軍語り」 『日本書紀』忍熊王の乱の神話的思考
説話文の語る戦い
敗者が勝者を歌う
「どち」が「あふ」
勝者と成る

3 狩猟と戦争 宇陀の兄弟ウカシと天神御子たち
「戦争文学」としての『古事記』 
鳥の言葉 
「鳴鏑」と「押機」
「宇陀之血原」を食べる
「うだの たかき」──狩猟と戦争と
歌による調理──喩の働き

4 距離(ディスタンス)と「愛」 イザナキ・イザナミ神話を起点として
「距離」をとる
非言語コミュニケーション
「畏」み「逃」げる
「愛」と戦争




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