内容説明
本書第1部は、日本の高山植物の生い立ちを地域間の比較により考えていく生物地理学的なアプローチである。第2部は、高山帯を形づくっているさまざまな環境要因と高山植生との対応についてのトピックスを取りあげる。第3部では、高山植物はどのように子孫を残しているのかという繁殖生態学の視点から、開花・結実、実生の定着、そして栄養繁殖についての研究を紹介する。第4部では、環境の変化に対する高山植物の反応について、種内変異、近縁種間の比較、そして環境操作実験による研究アプローチを取りあげた。
目次
第1部 高山植物の起源(高山植物のたどった道―系統地理学への招待;極地植物と高山植物の類縁関係―ユーラシア東部と北米を中心にして ほか)
第2部 高山環境と植物の分布(森林限界のなりたち;高山植物群落と立地環境 ほか)
第3部 高山植物の生活史特性(高山植物の開花フェノロジーと結実成功;高山植物の発芽と定着 ほか)
第4部 環境変異と高山植物の適応反応(北極域植物の生育型変異と生育環境;南アルプス高山帯におけるイワカガミ属2種のすみわけ現象 ほか)
著者等紹介
工藤岳[クドウガク]
1962年東京に生まれる。1991年北海道大学大学院環境科学研究科博士課程修了。現在、北海道大学大学院地球環境科学研究科助教授。博士(環境科学)