内容説明
それは、釈尊の正覚の奥底に見いだされた。親鸞思想の根幹である「本願」思想は、どこに淵源するのか。宗教哲学の碩学が瑞々しく鮮鋭な思索で明らかにする浄土真宗の核心。
目次
1 釈尊の正覚と弥陀の本願(親鸞の仏教史観としての浄土真宗―「釈尊が弥陀の本願を説いた」とはどういうことか;本願の思想とその淵源;弥陀の本願はどこにはたらくのか―宿業の大地と本願;釈尊の正覚に映った弥陀の本願―入涅槃から大般涅槃へ)
2 本願の信(本願の信と自信―自己を証しすること;七地沈空とその超出をめぐって―曽我量深の信と思索;奥深い存在の「呼び求める促し(das Ereignis)」(ハイデッガー)と「仏の呼び声」(西田幾多郎)としての弥陀の本願
自己を「証しする」(attester)ものとしての弥陀の本願)
3 本願と回向の思想(親鸞の回向の思想―表現としての回向;親鸞と二種回向の問題)
付録(田邊哲学と親鸞の思想―種の論理の挫折とそれの新しい立場からの展開;高坂正顕著『歴史的世界』解説)
著者等紹介
長谷正當[ハセショウトウ]
1937年富山県に生まれる。1965年京都大学大学院文学研究科博士課程修了(宗教学専攻)。文学博士。京都大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)