内容説明
閉じ込めない―人も、感情も。見せかけじゃない自由のつくり方とは?介護・福祉の実践の機微を、支援者9人の語りから豊かに拾い上げる。
目次
1 入所施設(認知症をもつ人と約束する―グループホームソラストももか太子 上埜美恵子さん;自然に生まれる地域との接続―KCCグループホーム 馬場将和さん;好きなものを発見する冒険―レジデンスなさはら 伊名岡宏さん)
2 地域と自宅でのサポート(「心配してくれる人がおる」―高齢者総合福祉施設オリンピア兵庫 中村文香さん;若者の出会いを大事にできる環境支援―NPO法人暮らしづくりネットワーク北芝 中村雄介さん)
3 通いの居場所(子どもが自由をつくる保育園―カミヤト凸凹保育園 馬場拓也さん;「笑って帰ってほしい」―すまいるほーむ 六車由実さん、松下真弓さん、稲鶴あゆみさん)
結論 地域で生きていくためにひらかれる施設
著者等紹介
村上靖彦[ムラカミヤスヒコ]
1970年東京生まれ。大阪大学人間科学研究科教授・感染症総合教育研究拠点(CiDER)兼任教員。現象学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
★“閉じ込めない──人も、感情も。”
介護・福祉のケア現場に見る、「管理の手放し方」「自由のつくり方」。★
介護・福祉分野の支援職は、生活支援を仕事としている。
ただ、その細かい実践の機微はなかなか目に見えてこない。
「専門職として生活を支援する」とはどのようなサポートをすることで、利用者たちがなにを手にすることなのか。
本書では、高齢者介護の現場、知的障害者の入所施設、若者支援のNPO、保育園など、7現場9人の支援者へのインタビューとその分析を通して、介護・福祉の実践の具体的な意味と機微を拾い上げる。
インタビューで語られたのは、「玄関に鍵をかけない」ことで生まれる個性豊かな支援の数々。
それらに通底する「脱管理」「自由の保障」は、私たちがかかえる弱さを深いところで肯定し、他者と補い合いながら生きる道をやさしく照らしてくれる。
介護・福祉の実践の面白さ、深さと機微、専門性に迫ると同時に、ケア的思考を深められる比類なき一冊。
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【あとがき】より
現代社会を特徴づける過剰な管理は、ケアの場面において先鋭化しやすい。
精神科病院や障害者施設で繰り返し報道される虐待事件からも、うかがえるだろう。
そのなかで本書に登場したみなさんは、いかにして利用者を管理することから逃れるか、いかにして利用者の自由を保障するのかを具体的な実践を通して示していた。
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【主な目次】
I 入所施設
第1章 認知症をもつ人と約束する──グループホームソラストももか太子 上埜美恵子さん
第2章 自然に生まれる地域との接続──KCCグループホーム 馬場将和さん
第3章 好きなものを発見する冒険──レジデンスなさはら 伊名岡宏さん
II 地域と自宅でのサポート
第4章 「心配してくれる人がおる」──高齢者総合福祉施設オリンピア兵庫 中村文香さん
第5章 若者の出会いを大事にできる環境支援──NPO法人暮らしづくりネットワーク北芝 中村雄介さん
III 通いの居場所
第6章 子どもが自由をつくる保育園──カミヤト凸凹保育園 馬場拓也さん
第7章 「笑って帰ってほしい」──すまいるほーむ 六車由実さん、松下真弓さん、稲鶴あゆみさん
結論 地域で生きていくためにひらかれる施設
1.自由の実現とひらかれたケア
2.生きるスペースとしての居場所
3.マネジメントのあり方